言語学に興味があるのに、最初の一冊がなかなか見つからない。
書店の棚には「音韻論」「統語論」「認知言語学」といった専門分野がずらりと並んでいて、初心者にはどこから手をつけていいのかわかりません。
この記事では、言語学の本おすすめ11冊を「入門」「古典・名著」「脳と認知」の3つの切り口から紹介します。
僕自身、ことばの仕組みに興味を持ちながらも、最初に手に取った専門書が歯が立たなくて本棚に戻した経験があります。
だからこそ、初心者でも挫折しない読書ルートにこだわりました。
読み終えるころには、ソシュールからチョムスキー、ピンカーまで、言語学の主要な流れが一本の線としてつながっているはずです。
🗣️ あなたにぴったりの言語学本診断
Q1. 言語学のどんな面に興味がありますか?
Q2. どのくらい言語学を知っていますか?
Q3. 次に読みたいのはどちら?
Q2. 脳と言語のどちらに惹かれますか?
あなたにおすすめの一冊は…
言語学の入門書おすすめ4選

言語学という学問は、音声、文法、意味、歴史、社会との関わりなど、守備範囲がとにかく広い分野です。
だからこそ、最初の一冊で「言語学っておもしろい」と感じられるかどうかが、その後の読書体験を大きく左右します。
ここでは、専門知識ゼロでも楽しみながら読める入門書を4冊紹介します。
- 『はじめての言語学』:新書で読める、言語学への最初の扉
- 『言語学講義 その起源と未来』:言語の起源から未来まで俯瞰する新書
- 『言語学の教室』:哲学者と言語学者の対話で学ぶ認知言語学
- 『よくわかる言語学』:全分野を見開き2ページで網羅する教科書
黒田龍之助『はじめての言語学』(講談社現代新書)
「ことばについて、あなたが当たり前だと思っていることは、じつは当たり前ではない。」
そんな問いかけから始まるこの新書は、言語学の入門書として長年読みつがれてきたロングセラーです。
日本語や英語だけでなく、ロシア語やチェコ語など多彩な言語を引き合いに出しながら、言語学の基本的な考え方をやさしく解説してくれます。
専門用語をほとんど使わず、エッセイのような軽やかな筆致で書かれているので、通勤電車のなかでも気軽に読めます。
言語学という学問に少しでも興味を持ったら、迷わずこの一冊から始めてください。
とばり「ことばにはルールがある。でもそのルールは、あなたが思っているものとは違う」。その発見のおもしろさが、この一冊に詰まっています。
加藤重広『言語学講義 その起源と未来』(ちくま新書)
言語はいつ、どのようにして生まれたのか。
そしてAIの時代に、言語学はどこへ向かうのか。
言語の「起源」と「未来」という壮大なスケールで、言語学の全体像を一冊に凝縮した新書です。
ソシュールやチョムスキーの理論を歴史の流れのなかに位置づけてくれるので、個々の学派がどうつながっているのかが見えてきます。
言語学の「地図」を手に入れてから個別の著作に進みたい人には、この本が最適です。



入門書でありながら、言語の起源からAIまで射程に入れているのがすごい。知的好奇心をくすぐられっぱなしの一冊です。
野矢茂樹・西村義樹『言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学』(中公新書)
哲学者の野矢茂樹と言語学者の西村義樹が、認知言語学をテーマに対話を繰り広げる異色の入門書です。
「メタファー」「カテゴリー」「プロトタイプ」といった認知言語学の核心概念を、二人の知的な掛け合いを通じて理解できます。
チョムスキーの生成文法に対するアンチテーゼとして認知言語学がどう生まれたのか、その思想的背景もわかりやすく語られています。
哲学に関心がある人にとっても、ことばと思考の関係を掘り下げるきっかけになるはずです。



哲学者の素朴な疑問が、言語学の本質を突いていく。対話形式なので、まるで講義を聴いているような感覚で読めます。
窪薗晴夫(編)『よくわかる言語学』(ミネルヴァ書房)
音声学、形態論、統語論、意味論、語用論、社会言語学、心理言語学、歴史言語学、言語類型論。
言語学のほぼすべての分野を、見開き2ページで1テーマという構成でカバーした辞書的な教科書です。
第一線の研究者たちが執筆しているため内容は正確で、それでいて初学者が理解できる丁寧さを備えています。
通読するもよし、気になる分野だけ拾い読みするもよし。
一冊手元に置いておけば、言語学のどの分野に進むときにも羅針盤として使えます。



「自分がどの分野に惹かれるか」を見つけるための本。言語学の全体像を最短で把握できます。
言語学の名著・古典おすすめ4選


入門書でことばの世界に足を踏み入れたら、次は言語学の歴史を動かした名著に挑んでみましょう。
ソシュールの構造言語学、チョムスキーの生成文法、そしてそれらに異を唱えるフィールドワーク。
言語学の大きな流れを形づくった4冊を紹介します。
- 『一般言語学講義』:近代言語学の出発点となったソシュールの古典
- 『チョムスキー言語学講義』:生成文法と言語進化論の入門講義
- 『ピダハン』:アマゾンの少数民族の言語が覆す言語学の常識
- 『言語学の散歩』:多言語を渡り歩く言語学者のエッセイ
フェルディナン・ド・ソシュール『一般言語学講義』(研究社)
近代言語学の出発点であり、20世紀の人文科学全体に巨大な影響を与えた古典です。
「ラング(言語体系)」と「パロール(個々の発話)」の区別、「シニフィアン(記号表現)」と「シニフィエ(記号内容)」の概念。
これらの二項対立は、言語学にとどまらず構造主義やポスト構造主義の思想にまで波及しました。
ソシュール自身が出版した本ではなく、弟子たちが講義ノートをもとに編纂したという成り立ちも独特です。
言語学を志すなら、いつか必ず通過しなければならない一冊です。



ソシュールを読むと、ことばが単なる「道具」ではなく、世界の見え方そのものを組み替えるものだと気づかされます。


ノーム・チョムスキー『チョムスキー言語学講義 言語はいかにして進化したか』(ちくま学芸文庫)
「ヒトはなぜ言語を持つのか」という問いに、生成文法の創始者チョムスキー自身が答えた講義録です。
すべての人間の言語に共通する「普遍文法」が脳に生得的に備わっている、というチョムスキーの核心テーゼがここで語られています。
講義形式なので、難解で知られるチョムスキーの著作のなかでは比較的読みやすい部類に入ります。
渡会圭子によるこなれた訳文も、理解を助けてくれます。
ソシュールの構造言語学を読んだあと、言語学のもうひとつの巨大な潮流に触れるために手に取ってほしい一冊です。



チョムスキーの考える「言語の本質」は、想像以上にシンプルで美しい。そのことにまず驚きます。
ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』(みすず書房)
アマゾンの奥地に暮らす少数民族ピダハンの言語には、数の概念も色彩語も再帰構造もない。
この発見は、チョムスキーの「普遍文法」やピンカーの「言語本能」といった定説に真っ向から挑戦しました。
著者のエヴェレットは元キリスト教宣教師で、ピダハンの人々と30年以上にわたって暮らした経験を持ちます。
学術書でありながら冒険記としても読めるので、言語学の専門知識がなくても夢中になれます。
ことばと文化の関係を根本から考え直すきっかけを与えてくれる、稀有な一冊です。



言語学の理論を打ち砕くのが、机上の議論ではなく、アマゾンの密林での生活から生まれた事実だというのが痛快です。
千野栄一『言語学の散歩』(大修館書店)
チェコ語をはじめ複数の言語に精通した著者が、比較言語学や類型論、日本語の系統論など、言語学の多彩なトピックを軽やかに案内してくれるエッセイ集です。
堅苦しい教科書とは異なり、言語にまつわるエピソードや具体例が豊富で、読んでいるだけで「ことばの多様性」を実感できます。
一話完結型なので、好きなところから拾い読みしても楽しめます。
入門書を読んだあと、もう少し言語学の世界を気楽に歩き回りたくなったときに手に取ってほしい一冊です。



言語学の「散歩」というタイトルのとおり、肩の力を抜いて知的な寄り道を楽しめます。
ことばと脳・認知の言語学おすすめ本3選


言語学は文法の分析だけではありません。
「なぜ人間だけがことばを使えるのか」「脳のどこで言語が処理されているのか」「子どもはどうやってことばを覚えるのか」。
こうした問いに科学的に迫る分野が、ここ数十年で急速に発展してきました。
理系的なアプローチに興味のある読者にもおすすめの3冊を紹介します。
- 『言語を生みだす本能』:ピンカーが語る「言語本能」の壮大な議論
- 『言語の脳科学』:脳がことばを生みだす仕組みを解明する
- 『ことばの発達の謎を解く』:子どもの言語習得の不思議に迫る
スティーブン・ピンカー『言語を生みだす本能(上・下)』(NHKブックス)
「言語は人間の本能である」。
認知科学者ピンカーがチョムスキーの生得説をベースに、言語がヒトの生物学的な能力であることを豊富なエビデンスで論じた世界的ベストセラーです。
言い間違い、方言、クレオール語、失語症、手話といった多角的な証拠を積み上げて、言語が文化の産物ではなく本能であると説得していきます。
一般読者向けに書かれているため専門知識は不要で、知的な興奮に満ちた読書体験を味わえます。
上下巻で分量はありますが、ピンカーのユーモアあふれる筆致のおかげで最後まで飽きずに読めます。



ことばに対する見方が180度変わる。「なぜ人間だけがしゃべれるのか」という素朴な疑問が、壮大な知の冒険に変わります。
酒井邦嘉『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』(中公新書)
脳のどの領域がことばの理解や産出を担っているのか。
ブローカ野、ウェルニッケ野といった古典的な脳機能局在論から、最新のfMRI研究まで、言語の脳科学を新書一冊で概観できます。
チョムスキーの生成文法を脳科学の視点から裏づけようとする著者の姿勢が明快で、理論と実験がどう結びつくのかがよくわかります。
理系的な関心から言語学に入りたい人にとって、最適な一冊です。



ことばを「脳の機能」として捉える視点が新鮮。文系・理系の垣根をこえて楽しめる新書です。


今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』(ちくまプリマー新書)
赤ちゃんは、まだ世界のことを何も知らないのに、どうやってことばを覚えていくのか。
認知科学者の今井むつみが、子どもの言語発達のプロセスを実験データに基づきながら、中高生にも読める平易なことばで解説した一冊です。
「ことばを覚える」とはどういうことなのか。
その問いに対する答えは、大人の言語観をも揺さぶるものがあります。
プリマー新書なので分量も手ごろで、言語学の予備知識がなくても読み通せます。
子育て中の人にとっても、子どもの成長を理解する手がかりになるはずです。



子どもがことばを身につける過程が、これほど知的で創造的な営みだったとは。読むたびに感動します。
本をお得に効率よくインプットするコツ2選


言語学の本は専門性が高く、一冊あたりの価格もそれなりにします。
紙の本だけにこだわらず、耳で聴いたり電子書籍で試し読みしたりする方法を組み合わせると、インプットの効率が格段に上がります。
12万冊が耳で聴けるAudibleプレミアム


AmazonのAudibleプレミアムは、12万冊以上のオーディオブックが月額1,500円で聴き放題のサービスです。
移動時間や家事のあいだに言語学の入門書を聴けば、忙しいなかでも着実に知識が積み上がっていきます。
30日間の無料体験があるので、まず試してみて合わなければ解約すれば費用はかかりません。
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500万冊が読み放題のKindle Unlimited


Kindle Unlimitedは、月額980円で500万冊以上の電子書籍が読み放題になるサービスです。
言語学の入門書や関連書籍も一部含まれており、気になった本を気軽に試し読みできます。
紙の本を購入する前にKindle Unlimitedで目を通しておけば、自分のレベルに合った一冊を見つけやすくなります。
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言語学の本を読む順番ガイド


言語学は分野が広いため、適切な順番で読まないと途中で迷子になりがちです。
以下のステップで読み進めると、基礎から応用へと無理なくステップアップできます。
| ステップ | 読む本 | 目的 |
|---|---|---|
| 1. 入門 | 『はじめての言語学』→『言語学講義』 | 言語学の全体像とおもしろさを掴む |
| 2. 分野の探索 | 『よくわかる言語学』『言語学の教室』 | 自分が興味のある分野を見つける |
| 3. 古典に挑戦 | 『一般言語学講義』→『チョムスキー言語学講義』 | ソシュールとチョムスキーの原典を読む |
| 4. 視野の拡大 | 『言語を生みだす本能』『ピダハン』 | 言語本能説とそのアンチテーゼを知る |
| 5. 科学的深化 | 『言語の脳科学』『ことばの発達の謎を解く』 | 脳科学と発達心理学の視点を加える |
ステップ1で「ことばっておもしろい」という感覚をつかんでから、ステップ2で自分の関心のある分野を見極めるのがポイントです。
ソシュールとチョムスキーは入門レベルの知識があれば読めますが、無理に急がず興味の赴くままに進んでください。
まとめ


言語学は、ことばの仕組みを科学する学問です。
ソシュールの構造言語学からチョムスキーの生成文法、ピンカーの言語本能説、そしてそれらに挑むフィールドワークまで、100年以上にわたる知の蓄積がこの分野には詰まっています。
今回紹介した11冊は、その広大な世界への入口として厳選しました。
まずは気になった一冊を手に取ってみてください。
ことばの裏側にある仕組みが見えてくると、日常の会話や読書がまったく違った景色に変わるはずです。






















