ジェンダーということばは、ニュースや教育、職場の会話にまで広がっています。
けれど、いざ本で学ぼうとすると、学術書は難しそうだし、入門書もたくさんあってどれを選べばいいか迷ってしまいますよね。
僕自身、ジェンダーについて体系的に学びたいと思ったとき、最初の一冊を見つけるだけで随分と時間がかかりました。
この記事では、予備知識ゼロでも読みとおせる入門書から、ジェンダー論の根幹をなす古典的名著、さらにはケアや歴史学への広がりまで、全10冊を厳選しています。
とばり読み終えたあとには、ふだん見慣れた社会の景色が少しだけ違って映るはずです。
📚 あなたにぴったりのジェンダー論入門診断
Q1. ジェンダーについて、まずどう入りたいですか?
Q2. 何を知りたいですか?
Q2. どんなテーマに惹かれますか?
Q3. どちらの切り口に興味がありますか?
あなたにおすすめの一冊は…
ジェンダー論のおすすめ入門書3選


ジェンダー論は、そのまま専門書を開くと壁にぶつかりやすい分野です。
まずは全体像をつかめる入門書から始めると、そのあとの読書がぐっと楽になります。
- 加藤秀一『はじめてのジェンダー論』(有斐閣ストゥディア)
- 千田有紀・中西祐子・青山薫『ジェンダー論をつかむ』(有斐閣)
- 佐藤文香 監修『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』(明石書店)
加藤秀一『はじめてのジェンダー論』(有斐閣ストゥディア)
ジェンダー論の教科書として、大学の講義でもっとも多く採用されている一冊です。
人はなぜ、女か男かという性別にこだわるのか。
その問いを軸に、インターセックス、トランスジェンダー、性暴力、性別職務分離といったテーマを幅広くあつかっています。
この本を読むと、ジェンダーがどのように社会制度に組みこまれているかの全体像がつかめます。
軽妙な講義調で書かれており、予備知識がなくても最後まで読みとおせます。
2025年12月には統計データや法制度を更新した改訂版も出る予定です。



僕はこの本からジェンダー論に入りました。各章末のおすすめ本リストが、次の一冊を導いてくれます。
千田有紀・中西祐子・青山薫『ジェンダー論をつかむ』(有斐閣)
性別、家族、労働、教育、国家、身体、フェミニズムなど、ジェンダーにまつわるテーマを網羅的にとりあげた入門書です。
この本を読むと、ジェンダーに関する常識がいかに社会的に作られたものかを具体例をとおして理解できます。
見開き完結型のレイアウトで、気になるテーマから拾い読みしても成り立つ構成です。
大学の教科書としても広く使われており、初学者が最初に手にとる一冊として安心感があります。
佐藤文香 監修『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』(明石書店)
一橋大学の社会学ゼミ生たちが、ジェンダーに関する29の素朴な疑問に段階的に回答していく一冊です。
この本を読むと、日常のなかで感じるモヤモヤに学問的な言葉を与える力が身につきます。
先行研究の理論的背景や必読文献もていねいに示されているため、ここから次の本へ進むのも容易です。
「なぜ男は泣いてはいけないの?」「レディースデーは差別?」といった等身大の問いから始まるので、堅い本が苦手な人にも向いています。
ジェンダー論の理論・古典おすすめ3選


入門書で見取り図を手に入れたら、ジェンダー論の根幹をなす理論書に踏みこみます。
ここでは、この分野を決定的に変えた三冊をとりあげます。
- ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』(青土社)
- 上野千鶴子『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)
- ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの』(エトセトラブックス)
ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』(青土社)
ジェンダー論とクィア理論の出発点として、世界中で読みつがれている一冊です。
バトラーは、生物学的な性別(セックス)すらも言説や文化的な構築物であると論じ、ジェンダーは本質ではなくパフォーマンスであるという革命的な概念を打ちたてました。
この本を読むと、男女の区別が自明でないことに気づき、性別をめぐる思考の枠組みそのものが揺さぶられます。
難解なことで有名ですが、入門書を一冊読んでから挑めば、核心部分はしっかりつかめます。
2018年に出た新装版が手に入りやすいです。



ジェンダー論を学ぶなら、避けてとおれない一冊です。入門書のあとに挑戦してみてください。
上野千鶴子『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)
日本のフェミニズム研究を代表する上野千鶴子の理論的主著です。
本書は、近代資本制社会において女性の抑圧がどこから生まれるのかを、マルクス主義フェミニズムの視点から徹底的に分析しています。
この本を読むと、家事労働や主婦というポジションが、資本主義の構造とどう結びついているかが見えてきます。
主婦の無償労働、性別役割分業が自然なものではなく歴史的に作られた構造であることを、理論と歴史の両面から解き明かします。
フェミニズム本おすすめのなかでも、理論の深さで群を抜く一冊です。
ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの』(エトセトラブックス)
アメリカを代表するブラック・フェミニストであるベル・フックスが、フェミニズムとは何かを明快に記した世界的ロングセラーです。
この本を読むと、フェミニズムが特定の人だけのものではなく、あらゆる人の生を広げる思想であることがわかります。
性と身体、教育、階級、人種が交差するインターセクショナリティの視点が、平易な語り口で展開されています。



コンパクトな一冊なので、ジェンダー論の古典に初めてふれる人の入り口としても機能します。
ジェンダー論を社会から読み解くおすすめ本2選


ジェンダーは個人の問題にとどまらず、社会学の視点から読み解くことで、より構造的に理解できます。
ここでは、社会の仕組みとジェンダーの関係を浮かびあがらせる二冊を紹介します。
- 江原由美子・山田昌弘『ジェンダーの社会学入門』(岩波書店)
- 清水晶子『フェミニズムってなんですか?』(文春新書)
江原由美子・山田昌弘『ジェンダーの社会学入門』(岩波書店)
多様な社会現象をジェンダーの視点から読み解く「ジェンダーの社会学」を、コンパクトに一冊にまとめた入門書です。
この本を読むと、性役割分業、セクシュアリティ、ケア、社会政策といった幅広いテーマを、ジェンダーという一本の軸で貫いて理解できるようになります。
放送大学テキストを増補した経緯もあり、説明のていねいさには定評があります。
172ページと薄めなので、社会学の視点を手早くつかみたい人に向いています。
清水晶子『フェミニズムってなんですか?』(文春新書)
東京大学教授でフェミニズム・クィア理論を専門とする清水晶子が、VOGUE JAPANの連載をもとに書き下ろした一冊です。
この本を読むと、性暴力、結婚、スポーツ、ケアといった身近なトピックを入り口にフェミニズムの核心にふれることができます。
改革の対象は個人ではなく社会や制度であるという視座が、具体的なエピソードをとおして鮮明に伝わってきます。
読みやすさと学術的な裏づけのバランスがとれた、社会人にもすすめやすい新書です。
ジェンダー論の応用・発展おすすめ本2選


ジェンダーの視点は、歴史学やケアの領域にまで広がっています。
最後に、ジェンダー論をさらに深く、広く読むための二冊をとりあげます。
- ジョーン・W・スコット『ジェンダーと歴史学 30周年版』(平凡社)
- 小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)
ジョーン・W・スコット『ジェンダーと歴史学 30周年版』(平凡社)
歴史学にジェンダーという分析軸を持ちこみ、歴史記述そのものを書きかえた記念碑的名著です。
スコットは、ジェンダーが生まれつきの性差ではなく、歴史のなかで社会的に構築されるものであることを実証しました。
この本を読むと、過去の出来事をジェンダーの視点で読み直す方法が身につき、歴史の見え方そのものが変わります。
2022年に30周年版が刊行され、528ページの充実した内容になっています。
小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)
強さと弱さ、理性と共感、自立と依存という二項対立をこえて、その間にあるものを見出すことをテーマにした一冊です。
キャロル・ギリガンが提唱した「ケアの倫理」を、ウルフやキーツからムラカミ・ハルキまで、古今東西の文学作品をとおして読み解いています。
この本を読むと、ケアという営みが単なる世話ではなく、他者と自己の関係を組み立て直す思想であることがわかります。
倫理学のおすすめ本とあわせて読むと、ケアの思想がより立体的に見えてきます。
本をお得に効率よくインプットするコツ2選


ジェンダー論の本は、一冊読むと次が気になって芋づる式に増えていきます。
そこで、読書の量を増やしながらコストを抑える方法を2つ紹介します。
①12万冊が耳で聴けるAudibleプレミアム


通勤や家事の時間を読書に変えられるのが、AmazonのAudibleプレミアムです。
プロのナレーターが朗読してくれるので、分厚いジェンダー論の本も耳からすんなり入ってきます。
目が疲れた夜でも、イヤフォンひとつで学びを止めなくて済むのが最大のメリットです。
初めての方は30日間の無料体験が使えるので、合わなければ期間中に解約すれば料金はかかりません。
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②500万冊が読み放題のKindle Unlimited


AmazonのKindle Unlimitedは、月額980円で500万冊以上が読み放題になるサービスです。
ジェンダー論の入門書や関連書籍もラインナップに含まれており、気になった本を片っ端から試し読みできます。
紙の本を買う前に中身を確認できるので、ハズレを引くリスクがぐっと減ります。
こちらも30日間の無料体験があるので、まずは読みたい本があるかチェックしてみてください。
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ジェンダー論の本を読む順番ガイド


10冊もあると、どこから始めるか迷いがちです。
以下に、筆者がおすすめする読書の道筋を整理しました。
| 段階 | おすすめ本 | ポイント |
|---|---|---|
| まず最初に | 『はじめてのジェンダー論』 | ジェンダーの全体像をつかむ |
| 素朴な疑問から | 『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』 | 日常の問いに学問の言葉を与える |
| 理論に挑戦 | 『ジェンダー・トラブル』『家父長制と資本制』 | ジェンダー論の核心をおさえる |
| 社会を読む | 『ジェンダーの社会学入門』『フェミニズムってなんですか?』 | 制度と文化のなかのジェンダー |
| さらに深く | 『ジェンダーと歴史学』『ケアの倫理とエンパワメント』 | 歴史学やケアへの応用 |
上から順に読んでいけば、ジェンダー論の輪郭が自然と浮かびあがってきます。
もちろん、気になるところから手にとっても構いません。
あわせて政治哲学のおすすめ本も読むと、正義やケアをめぐる議論の奥行きが増します。
ジェンダー論を学ぶと何が変わるのか


ジェンダー論は、ふだん見慣れた風景のなかに隠れている構造を照らし出す力を持っています。
- 職場や家庭の違和感に言葉が与えられる 何がおかしいのかを論理で説明できるようになります
- ニュースや政策の背景が読める 選択的夫婦別姓や賃金格差の議論に根拠を持って参加できます
- 他者への想像力が広がる 自分とは異なる立場や経験を理解するための足場が手に入ります
難しそうに見えるジェンダー論も、入門書を一冊読み終えるだけで見える世界が変わります。
気になった本を手にとって、静かにページをめくってみてください。












