悩んでいる人ソシュールが言語学の父って聞くけど、本が何種類もあってどれから読めばいいのかわからない…。
ソシュールの本は、入門書から複数の原典翻訳、専門的な研究書まで幅が広く、最初の一冊を選びにくいテーマです。
この記事では、入門、原典翻訳、研究書12冊をランキングにし、各本の役割を4段落で比較しました。
公開中の本文と保存済みの商品情報を一冊ずつ照合し、書名、著者、選んだ版を確かめています。
概念をつかむ新書から講義録、思想史的な研究書へ進むため、自分の目的と難易度に合う順番を決められます。
今回は「難易度」を軸にして、入門書から原典、研究書の3段階で配置しています。
ソシュールに興味がある方は、構造主義のおすすめ本17選や言語学の本おすすめ11選もあわせてどうぞ。
ソシュールを学んだ後で哲学全体に視野を広げたい方は、超入門から名著まで5レベルで読む順番を示した哲学のおすすめ本30選もあわせてどうぞ。
ソシュールとはどんな人物か


フェルディナン・ド・ソシュールは「近代言語学の父」と呼ばれるスイスの言語学者です。
1857年にジュネーヴで生まれ、20代前半ですでにヨーロッパの言語学界で注目を集めていました。
ソシュールが画期的だったのは、言語を「歴史のなかで変化するもの」として追いかけるのではなく、「ある時点の体系」として分析する視点を打ち出したことです。
この発想は、のちにレヴィ=ストロースやバルト、ラカンといった思想家たちに受けつがれ、20世紀最大の知的運動のひとつである構造主義の出発点になりました。
ソシュール本人は生前一冊の本も出版しておらず、彼の思想は死後に弟子たちがまとめた『一般言語学講義』を通じて広まったという経緯をもっています。
哲学や思想を深く学びたい方にとって、ソシュールは避けて通れない存在です。
ソシュールのおすすめ本12選の読み進め方


1位から5位は、ソシュールの基本概念と思想の全体像をつかむ入門書です。
『一般言語学講義』の翻訳へ進む


6位から8位で講義録の訳と編集方針を比べると、入門書で得た理解を原典へつなげられます。
研究書と構造主義へ進む


9位から12位は、ソシュール研究の論点と、その後の構造主義への広がりを追うための本です。
1位:『ソシュールを読む』(丸山圭三郎)
日本におけるソシュール研究の第一人者、丸山圭三郎による解説書です。
『一般言語学講義』の内容を軸にしながら、コトバを手がかりにソシュールの思想をていねいに解きほぐしていきます。
入門書でありながら、弟子たちが編んだ講義録とソシュール本人の手稿との食い違いにまで踏みこんでいるのが特徴です。「ラング」「パロール」「シニフィアン」「シニフィエ」といった基本概念を、具体例をまじえて理解できます。
ソシュールを体系的に学ぶなら、まずこの一冊からはじめるのが最も確実です。
2位:『コトバの謎解き ソシュール入門』(町田健)
言語学者の町田健が、ソシュールの学説を三章仕立てでわかりやすくまとめた新書です。
「ソシュールは何を解明しようとしたのか」「ソシュールが目指した言語学」「ソシュールが明らかにしたコトバのしくみ」という構成で、読者を自然にソシュールの世界へ導いてくれます。
新書サイズで200ページほどなので、通勤時間や休日の数時間で読み切れるのが魅力です。ソシュールの思想が言語学にどのような影響を与えたのかまで見渡せるため、入門としてだけでなく、全体像の把握にも役立ちます。
「ソシュールって何をした人?」を手短に知りたいなら、この一冊が最適です。
3位:『ソシュール超入門』(ポール・ブーイサック)
カナダの記号学者ポール・ブーイサックが書いた、海外発のソシュール入門書です。
ソシュールの生涯からはじまり、『一般言語学講義』の核心部分までを平易な文体でたどっていきます。
言語が持つ「恣意性と必然性」「安定性と不安定性」といった一見矛盾する性質を、ソシュール本人の問題意識に立ち戻って解きほぐしているのが読みどころです。
日本のソシュール解説書とは違った角度から書かれているため、丸山圭三郎や町田健の入門書と読みくらべると、理解がいっそう深まります。
4位:『ソシュールのすべて 言語学でいちばん大切なこと』(町田健)
町田健が「ソシュールの思想と一般言語学講義の内容を、言語学に興味のある誰もが理解できるように」書き下ろした一冊です。
200ページにソシュールのエッセンスが凝縮されており、日本語のケースに引きつけた例示が多いのが特徴です。
「ことばとは何か」という根本的な問いに、専門用語を最小限にしながら答えてくれます。
同じ著者の『コトバの謎解き ソシュール入門』とくらべると、より網羅的にソシュールの全体像を描いており、辞書的に使えるのも利点です。
5位:『20世紀言語学入門 現代思想の原点』(加賀野井秀一)
加賀野井秀一が、ソシュールを起点に20世紀の言語学全体を俯瞰した新書です。
ソシュールだけにとどまらず、ヤーコブソン、チョムスキー、オースティンといった言語学者たちがどのようにソシュールの問いを引きついだのかまで見渡せます。
ソシュールの思想を「一人の天才の業績」ではなく「20世紀の知の潮流」として位置づけて読めるのが、この本ならではの魅力です。
タイトルに「現代思想の原点」とあるとおり、言語学と哲学の接点に興味がある方にも向いています。
6位:『新訳 ソシュール 一般言語学講義』(フェルディナン・ド・ソシュール(町田健 訳))
2016年に刊行された、最も新しい日本語訳です。
訳者の町田健は入門書の著者としても知られており、現代言語学の知見を取り入れた詳細な脚注がついています。
原著の内容に忠実でありながら、今の読者が読みやすいように訳語が整理されているのがこの新訳の強みです。従来の小林英夫訳にくらべて文体が現代的なので、はじめて原典に挑戦する方にはこの訳をすすめます。
「入門書では物足りない、でもいきなり学術書は怖い」という方に最適な一冊です。
7位:『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』(フェルディナン・ド・ソシュール(影浦峡・田中久美子 訳))
『一般言語学講義』は弟子たちが複数の聴講ノートを編集して作った本ですが、こちらはそのうち最も忠実な記録とされるコンスタンタンのノートを翻訳したものです。
編集の手が入る前のソシュールの言葉にふれられるため、弟子たちによる「解釈のフィルター」を通さずにソシュールの思考を追体験できます。
講義録とコンスタンタンのノートを読みくらべることで、「ソシュールが本当に言いたかったこと」が浮かびあがってきます。
研究者向けの資料としての性格が強いため、まずは入門書と通常の講義録を読んでから手に取るのがおすすめです。
8位:『一般言語学講義』(フェルディナン・ド・ソシュール(小林英夫 訳))
1928年に『言語学原論』として初版が出てから、日本のソシュール研究を支えてきた歴史的な翻訳です。
戦前から読みつがれてきた訳書だけに、日本語としての格調が高く、研究論文や学術書で引用されるときはこの小林訳が使われることがほとんどです。
ソシュール研究の文脈を正確に追いたい場合、この翻訳を避けて通ることはできません。ただし、訳語が現代の言語学用語と異なる箇所もあるため、初読の方には町田健の新訳を先に読むことをおすすめします。
新訳と読みくらべると、訳語の違いから言語学の用語史が見えてくるのも面白い点です。
9位:『ソシュールの思想』(丸山圭三郎)
丸山圭三郎がソシュール言語学の全体像を体系的に論じた主著です。
『ソシュールを読む』が入門書だとすれば、こちらは丸山自身の研究成果を全面的に展開した一冊といえます。
「ラング」と「パロール」、「シニフィアン」と「シニフィエ」の関係を、ソシュールの手稿にまで遡って根本からとらえ直しています。407ページと分量がありますが、丸山の文章は明晰で、論理の流れを見失うことなく読み進められます。
ソシュールの言語学を「存在論の哲学」にまで昇華させた、日本語で読めるソシュール研究の最高峰です。
10位:『フェルディナン・ド・ソシュール 〈言語学〉の孤独、「一般言語学」の夢』(互盛央)
互盛央による、ソシュールの生涯と思想を一冊に凝縮した大著です。
676ページという圧倒的な分量で、ソシュールがなぜ生前に著作を出さなかったのか、「一般言語学」の夢とは何だったのかを追いかけます。
和辻哲郎文化賞と渋沢・クローデル賞をダブル受賞した、学術書としても文学としても一級の評伝です。ソシュールを「理論の体系」としてではなく、「ひとりの人間が言語という謎に向き合った軌跡」として描いている点に、他の研究書にはない読みごたえがあります。
ソシュールに深くのめり込みたい方にとって、最終的に行きつく一冊になるはずです。
11位:『沈黙するソシュール』(前田英樹)
前田英樹が、ソシュールの「沈黙」という行為そのものに光をあてた異色のソシュール論です。
ソシュールはなぜ生前に自分の理論を公にしなかったのか。
言語学者でありながら言語について語ることを拒んだソシュールの姿を、思想的な必然として読み解いていきます。入門書ではなかなか見えてこない、ソシュールの内面的な葛藤や問題意識に迫ることができます。
とくに、ソシュールの手稿やアナグラム研究に関心がある方にすすめたい一冊です。
12位:『はじめての構造主義』(橋爪大三郎)
社会学者の橋爪大三郎が、構造主義の考え方をゼロから解説した新書です。
ソシュールの言語学がレヴィ=ストロースの人類学や、バルトの記号論、フーコーの知の考古学にどうつながっていったのかを、一本の線として見渡せます。
ソシュールの「言語は差異の体系である」という発想が、20世紀の人文科学をどれほど動かしたのかを実感できます。ソシュール単体の解説書ではありませんが、ソシュールの思想をより大きな文脈のなかで理解するために欠かせない一冊です。
構造主義についてもっと知りたい方は、構造主義のおすすめ本17選もあわせてどうぞ。
ソシュールを理解するための3つのキーワード


ソシュールの本を読む前に、核心となる3つの概念を押さえておくと理解がぐっと深まります。
ここでは、ソシュール思想のキーワードをかみ砕いて解説します。
ラングとパロール
ソシュールは、言語を「ラング」と「パロール」の二つにわけて考えました。
ラングとは、ある言語共同体の成員が共有している言語の体系のことです。
たとえば「日本語の文法」や「日本語の語彙体系」のように、個人の頭のなかにだけあるのではなく、社会全体に共有されているルールがラングにあたります。
一方、パロールとは、そのルールを使って個人が実際に発する具体的な発話のことです。
ソシュールが画期的だったのは「言語学が研究すべきはパロールではなくラングだ」と明確に打ち出した点です。
この区別があったからこそ、言語を「個別の発言の寄せ集め」ではなく「体系」として科学的に分析する道が開けました。
シニフィアンとシニフィエ
ソシュールは、言語記号を「シニフィアン」と「シニフィエ」の結びつきとして定義しました。
シニフィアンとは「音のイメージ」、つまり「い・ぬ」という音の連なりのことです。
シニフィエとは「概念」、つまりその音が指し示す「四本足で吠える動物」のイメージです。
重要なのは、シニフィアンとシニフィエの結びつきには必然性がないということです。
「犬」を英語では “dog”、フランス語では “chien” と呼ぶように、音と意味の対応は言語ごとにまったく異なります。
この考え方は、のちにバルトの記号論やラカンの精神分析にも大きな影響をあたえました。
記号論に興味がある方は、記号論の本おすすめ10選もあわせてどうぞ。
言語記号の恣意性
「恣意性」とは、シニフィアンとシニフィエの結びつきに自然な根拠がない、ということです。
なぜ「犬」を「いぬ」と呼ぶのかに、論理的な理由はありません。
ソシュールはこの性質を「言語記号の恣意性」と呼び、言語学の根本原理として位置づけました。
恣意性の原理から導かれるのは、「言語とは差異の体系である」という結論です。
ひとつの記号が意味を持つのは、他の記号との「違い」によってです。
この発想は、言語学だけでなく、文化人類学や哲学にも広くおよび、構造主義やポスト構造主義の思想的基盤となりました。
ソシュールのおすすめ本についてのよくある質問


ソシュールの本選びでよく聞かれる質問をまとめました。
ソシュールの本をお得に効率よくインプットするコツ2選


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まとめ


12冊を、入門書から原典、研究書へ進む順番で比較できるようにまとめました。
| 順位 | 書名 | 著者 | 種類 | 選び方 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 『ソシュールを読む』 | 丸山圭三郎 | 入門・思想 | ソシュールを体系的に学ぶなら 、まずこの一冊からはじめるのが最も確実です。 |
| 2位 | 『コトバの謎解き ソシュール入門』 | 町田健 | 新書・入門 | 「ソシュールって何をした人?」を手短に知りたいなら 、この一冊が最適です。 |
| 3位 | 『ソシュール超入門』 | ポール・ブーイサック | 記号学・入門 | 日本のソシュール解説書とは違った角度から書かれているため 、丸山圭三郎や町田健の入門書と読みくらべると、理解がいっそう深まります。 |
| 4位 | 『ソシュールのすべて 言語学でいちばん大切なこと』 | 町田健 | 言語学・概説 | 同じ著者の『コトバの謎解き ソシュール入門』とくらべると 、より網羅的にソシュールの全体像を描いており、辞書的に使えるのも利点です。 |
| 5位 | 『20世紀言語学入門 現代思想の原点』 | 加賀野井秀一 | 言語学史 | タイトルに「現代思想の原点」とあるとおり 、言語学と哲学の接点に興味がある方にも向いています。 |
| 6位 | 『新訳 ソシュール 一般言語学講義』 | フェルディナン・ド・ソシュール(町田健 訳) | 原典・新訳 | 「入門書では物足りない 、でもいきなり学術書は怖い」という方に最適な一冊です。 |
| 7位 | 『ソシュール 一般言語学講義 コンスタンタンのノート』 | フェルディナン・ド・ソシュール(影浦峡・田中久美子 訳) | 講義ノート | 研究者向けの資料としての性格が強いため 、まずは入門書と通常の講義録を読んでから手に取るのがおすすめです。 |
| 8位 | 『一般言語学講義』 | フェルディナン・ド・ソシュール(小林英夫 訳) | 原典・定番訳 | 新訳と読みくらべると 、訳語の違いから言語学の用語史が見えてくるのも面白い点です。 |
| 9位 | 『ソシュールの思想』 | 丸山圭三郎 | 研究・思想 | ソシュールの言語学を「存在論の哲学」にまで昇華させた 、日本語で読めるソシュール研究の最高峰です。 |
| 10位 | 『フェルディナン・ド・ソシュール 〈言語学〉の孤独、「一般言語学」の夢』 | 互盛央 | 評伝・研究 | ソシュールに深くのめり込みたい方にとって 、最終的に行きつく一冊になるはずです。 |
| 11位 | 『沈黙するソシュール』 | 前田英樹 | 思想研究 | とくに、ソシュールの手稿やアナグラム研究に関心がある方にすすめたい一冊です。 |
| 12位 | 『はじめての構造主義』 | 橋爪大三郎 | 構造主義・入門 | 構造主義についてもっと知りたい方は 、 構造主義のおすすめ本17選 もあわせてどうぞ。 |
まずは読み切れそうな入門書を選び、言語を差異の体系として見る視点をつかんでみてください。






















