記号論に興味はあるけれど、何から読めばいいかわからない。
そう思ったことはありませんか。
記号論(記号学)は、言語、広告、ファッション、建築など、世界のあらゆるものを「記号」として読み解く学問です。
ソシュールの言語学、パースの論理学、バルトの文化批評。
この記事では、記号論をはじめて学ぶ方から、ソシュールやパースの原典に踏み込みたい方まで、目的別に10冊を厳選しました。
読み終えたとき、ふだん何気なく見ていた広告やロゴ、日常の風景が、まったくちがって見えてくるはずです。
記号論の入門書おすすめ5選

記号論を学ぶ最初の一歩は、「世界を記号として読む」という視点を手に入れるところから始まります。
言語学、哲学、文化批評にまたがる記号論の基本を、5冊の入門書で紹介します。
- 池上嘉彦『記号論への招待』:記号論の古典的入門書、岩波新書のロングセラー
- 石田英敬『記号論講義』:東大講義をもとにした現代的な記号論テキスト
- 米盛裕二『パースの記号学(新装版)』:パース理論を理解する決定版
- 丸山圭三郎『ソシュールを読む』:ソシュール思想への最良のガイド
- 内田樹『寝ながら学べる構造主義』:記号論の背景にある構造主義を気軽に学ぶ
池上嘉彦『記号論への招待』(岩波新書)
1984年の刊行以来、記号論の入門書として読み継がれてきたロングセラーです。
ことわざ、広告、ナンセンス詩といった身近な日本語の表現を手がかりに、コミュニケーションの仕組みに新しい光を当てています。
ソシュールやパースの理論を、専門用語をなるべく使わずに解説しているところが本書の強みです。
新書サイズで254ページと手に取りやすく、記号論の「最初の一冊」として今なお最良の選択肢です。
とばり記号論を知るなら、まずこの一冊。40年読み継がれてきた名著です。
石田英敬『記号論講義――日常生活批判のためのレッスン』(ちくま学芸文庫)
東京大学で行われた講義をもとにした、現代社会を記号論の視点から読み解くテキストです。
ソシュールとパースの記号論からスタートして、メディア、コミュニケーション、都市、欲望、身体など、11のレッスン形式で展開されます。
広告やメディアが発信する「記号の嵐」を生き抜くための「意味批判力」を養える一冊です。
池上本で基礎をつかんだあと、応用的な視点を広げるのに最適です。



記号論を「現代社会の分析ツール」として使いたいなら、この講義録がベストです。
米盛裕二『パースの記号学(新装版)』(勁草書房)
記号を「イコン(類似)」「インデックス(指標)」「シンボル(象徴)」の三種に分類したチャールズ・サンダース・パースの理論を、体系的に解説した決定版です。
パースは人間の認識と思考そのものを「記号過程」として捉えました。
難解で知られるパース理論ですが、本書は丁寧な説明で全構想を掴めるように構成されています。
2026年に新装版が刊行され、全編が新たに組版されてより読みやすくなりました。



パースの記号論を学ぶなら、この一冊が唯一にして最良のガイドです。
丸山圭三郎『ソシュールを読む』(講談社学術文庫)
近代言語学の父・ソシュールの思想を、日本のソシュール研究の第一人者が徹底的に読み解いた名著です。
ソシュールの手稿や聴講生のノートから講義内容を復元し、言語を手がかりに文化や社会の「幻想性」を暴く文化記号学の理論を解説しています。
シニフィアン(記号表現)とシニフィエ(記号内容)の関係、言語における「差異の体系」といった核心的概念が、鮮やかに描かれています。
もともと岩波書店から1983年に刊行され、現在は講談社学術文庫で入手可能です。



ソシュールを本気で理解したいなら、丸山圭三郎のこの本が最短ルートです。
内田樹『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)
記号論を学んでいると、必ず出くわすのが「構造主義」というキーワードです。
本書は、ソシュールの言語学から生まれた構造主義の思想を、ふとんの中でも読めるほどわかりやすく解説しています。
レヴィ=ストロース、フーコー、バルト、ラカンといった構造主義の巨人たちの思想を、日常的な言葉で紹介しています。
記号論と構造主義のつながりを理解するための、もっとも手軽な一冊です。



記号論の「背景」を知りたいなら、まずこの新書から。気楽に読めて深く刺さります。
記号論の名著・古典おすすめ5選


入門書で全体像をつかんだら、次は記号論の古典に直接触れてみましょう。
ソシュール、バルト、エーコという記号論を形づくった思想家たちの代表作を5冊紹介します。
- ソシュール『新訳 ソシュール一般言語学講義』:近代言語学の出発点
- ロラン・バルト『現代社会の神話』:日常を記号論的に読み解く名エッセイ
- ロラン・バルト『表徴の帝国』:日本文化を記号として読む異色の批評
- エーコ『記号論1・2』:記号論の体系的理論化の試み
- エーコ『記号論入門』:記号概念の歴史的分析
ソシュール『新訳 ソシュール一般言語学講義』(研究社)
近代言語学の出発点であり、記号論(記号学)の源流でもある古典中の古典です。
ソシュールは、言語が「シニフィアン」と「シニフィエ」の恣意的な結びつきから成ることを明らかにし、あらゆる記号を体系的に研究する「記号学」の可能性を示しました。
本書は町田健氏による2016年の新訳版で、旧訳に比べて現代的な日本語で読みやすくなっています。
丸山圭三郎の『ソシュールを読む』を先に読んでおくと、理解がいっそう深まります。



記号論を学ぶなら一度は読むべき原典。新訳で格段に読みやすくなりました。
ロラン・バルト『現代社会の神話』(みすず書房)
フランスの記号学者ロラン・バルトが、プロレス、洗剤の広告、映画スター、ワインといった日常の文化現象を記号論的に分析したエッセイ集です。
もともと1957年にフランスで出版された『神話作用(Mythologies)』を、下澤和義氏の新訳で読めます。
バルトは、日常的なモノやイメージが「神話」としてイデオロギーを伝達するメカニズムを暴きます。
記号論の理論を「生きた現実」に応用するとどうなるか、その模範を示した名著です。



記号論の「面白さ」を体感したいなら、このバルトのエッセイが一番です。
ロラン・バルト『表徴の帝国』(ちくま学芸文庫)
ロラン・バルトが日本を訪れた際の体験をもとに、天ぷら、庭園、歌舞伎、パチンコ、俳句といった日本文化を「記号の体系」として読み解いた異色の批評エッセイです。
バルトの目に映った日本は、西洋とはまったく異なる記号の世界でした。
「空虚な中心」としての皇居、「意味をはぐらかす」俳句など、独特の視点は今読んでも鮮烈です。
日本文化を外部の目で見直すという体験自体が、記号論的思考のトレーニングになります。



日本人が読むと、自国文化の「記号性」に気づかされます。不思議な読書体験です。
ウンベルト・エーコ『記号論1・2』(講談社学術文庫)
イタリアの記号学者ウンベルト・エーコが、記号論を体系的な一般理論として構築しようとした主著です。
「コードの理論」(1巻)と「記号生産の理論」(2巻)の二部構成で、記号がどのように意味を生み出すのかを論理的に解明しています。
池上嘉彦氏の翻訳で、講談社学術文庫から入手可能です。
入門書を読んだあと、記号論の理論的な深みに踏み込みたい方に最適です。



記号論を「学問」として極めたいなら、エーコのこの大著が避けて通れません。
ウンベルト・エーコ『記号論入門――記号概念の歴史と分析』(而立書房)
エーコが記号概念の歴史的展開を分析した、記号論の「学説史」ともいうべき専門的な一冊です。
古代ギリシャから現代に至るまで、さまざまな哲学者や思想家がどのように記号を定義してきたかを網羅的に検証しています。
タイトルに「入門」とありますが、内容は上級者向けです。
記号論の基礎を身につけたうえで、「記号とは何か」をより根本的に問い直したいときに手に取りたい本です。



記号論の知的冒険を極限まで追求したい方に。エーコの学識の深さに圧倒されます。






本をお得に効率よくインプットするコツ2選


記号論の本をもっと読みたいと思ったとき、すべてを購入するのは負担がおおきいですよね。
そこで、僕がふだん活用している2つのサービスを紹介します。
12万冊が耳で聴けるAudibleプレミアム


Audibleは、Amazonが提供するオーディオブックサービスです。
月額1,500円で12万冊以上が聴き放題になります。
通勤中や家事のあいだに、人文学の知見を「聴く」ことができます。
30日間の無料体験もあるので、気になる方はまず試してみてください。
\ 12万冊以上の本を耳から聴ける! /
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500万冊が読み放題のKindle Unlimited


Kindle Unlimitedは、月額980円で500万冊以上の電子書籍が読み放題になるサービスです。
記号論や構造主義に関連する書籍も対象に含まれていることがあります。
気になる本を気軽に試し読みできるので、自分に合う一冊を見つけるのに最適です。
\ 500万冊の電子書籍が読み放題 /
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記号論の本を読む順番ガイド


最後に、今回紹介した10冊をどの順番で読むとよいか、ステップ別にまとめます。
| ステップ | 目的 | おすすめ本 |
|---|---|---|
| Step 1 | 記号論の全体像をつかむ | 池上嘉彦『記号論への招待』 |
| Step 2 | 背景となる構造主義を理解する | 内田樹『寝ながら学べる構造主義』 |
| Step 3 | ソシュールの原典に触れる | 丸山圭三郎『ソシュールを読む』 |
| Step 4 | 記号論の応用を体験する | バルト『現代社会の神話』 |
| Step 5 | 記号論の理論を深める | エーコ『記号論1・2』 |
まずは池上本で記号論の見取り図をつかみ、内田本で構造主義の背景を理解するのが王道のルートです。
そこから先は、ソシュールの言語学に進むか、バルトの文化批評を楽しむか、関心に応じて自由に読み進めてください。




まとめ


記号論は、世界を「意味の体系」として読み解く思考法です。
今回紹介した10冊は、その知的冒険への最良の入口になる本ばかりです。
気になった一冊を手にとって、広告も言葉もファッションも、すべてが「記号」として見える新しい視点を手に入れてください。
















