「マルクス」と聞くと、どこか過去の思想家、あるいは「危険な思想」だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、格差の拡大、働いても豊かにならない社会、気候危機──現代が抱える問題の多くを、マルクスは150年以上前に予見していました。
この記事では、マルクス主義の全体像をつかむ入門書から、『資本論』『共産党宣言』の原典まで、レベル別に10冊を厳選しました。
読み終えたとき、資本主義社会の「あたりまえ」が問い直されるはずです。
マルクス主義の入門書おすすめ5選

まずは、マルクス主義の全体像をつかむための入門書を5冊紹介します。
『資本論』を読んだことがなくても大丈夫です。やさしい解説で、マルクスの考え方の核心に触れることができます。
- 今村仁司『マルクス入門』:思想の全体像を学べるちくま新書
- 池上彰『高校生からわかる「資本論」』:資本論をわかりやすく解説
- 的場昭弘『超訳「資本論」』:現代の具体例で資本論を読み解く
- 木暮太一『マルクスる?』:世界一簡単なマルクス経済学の本
- 佐々木隆治『カール・マルクス』:最新研究に基づく思想家の実像
今村仁司『マルクス入門』(ちくま新書)
既存のマルクス像にとらわれず、その思想の新たな可能性を探るための入門書です。
『資本論』をはじめとする主要著作を再読し、あらゆるイデオロギーを批判しつづけた無神論的な思想家としてのマルクス像を描き出します。
哲学と経済学を横断するマルクスの思想の全体像を、新書一冊でつかめる優れた入門書です。
マルクス主義を「右」でも「左」でもなく、思想として理解したい方に最適です。
とばりマルクスを「思想家」として真正面から学べる。先入観を壊してくれる一冊です。
池上彰『池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」』(集英社)
ジャーナリスト池上彰氏が高校生でもわかるように『資本論』を解説した、定番の入門書です。
なぜ働いても豊かにならないのか、なぜ格差は広がるのか──『資本論』の核心を、現代社会の身近な疑問と結びつけて丁寧に説明しています。
原典に忠実でありながら読みやすいと評価が高く、文庫版(759円)も出ています。
「資本論って何が書いてあるの?」を最短で知りたい方におすすめです。



池上彰のわかりやすさは健在。「資本論の地図」を手に入れるならこの一冊です。
的場昭弘『超訳「資本論」』(祥伝社新書)
マルクス研究者の的場昭弘氏が、『資本論』第1巻のエッセンスを現代語で読み解いた新書です。
商品の二重性、貨幣の資本への転化、剰余価値、資本の蓄積──マルクスの核心的な概念を、今の経済と結びつけて解説しています。
全3巻で『資本論』の全体像を俯瞰できますが、まずは第1巻だけでも十分です。
「資本論は難しそう」と感じている方の最良の導入書です。



新書サイズで「資本論」の核心がわかる。コスパ最高の入門書です。
木暮太一『マルクスる?──世界一簡単なマルクス経済学の本』
マルクス経済学を「世界一簡単に」説明することを目指した、ユニークな入門書です。
数式やマルクス経済学独特の専門用語をかみ砕いて説明し、日本経済の具体例に当てはめて検討しています。
「交換価値」のような初心者がつまずきやすい概念を、あえて使わずに解説する配慮も特徴です。
マルクス経済学の「とっかかり」として最適な一冊です。



「世界一簡単」は伊達じゃない。マルクスのハードルが一気に下がります。
佐々木隆治『カール・マルクス──「資本主義」と闘った社会思想家』(ちくま新書)
MEGA(新マルクス・エンゲルス全集)の編集にも携わる佐々木隆治氏が、最新の文献研究に基づいてマルクスの実像に迫る入門書です。
初期の哲学から『資本論』の経済学批判、そして晩期の物質代謝論まで、マルクスの思想の発展を時系列で追います。
特に、これまであまり注目されてこなかった晩期マルクスの思想がどう現代に通じるかを示しています。
学術的に正確でありながら、新書として読みやすい。研究水準が高い入門書です。



「最新の研究」が反映された入門書。マルクスの本当の姿を知りたい方に。
マルクス主義の名著おすすめ5選


入門書でマルクスの全体像をつかんだら、いよいよ原典や本格的な著作に挑戦しましょう。
150年以上読み継がれてきた古典と、マルクスを現代に蘇らせた話題作を紹介します。
- マルクス&エンゲルス『共産党宣言』:マルクス主義の原点にして最重要テクスト
- 白井聡『武器としての「資本論」』:資本論を現代の「武器」にする
- 斎藤幸平『人新世の「資本論」』:脱成長コミュニズムという新提案
- マルクス『資本論』:近代経済学批判の金字塔
- 田上孝一『99%のためのマルクス入門』:現代社会で使えるマルクス
マルクス&エンゲルス『共産党宣言』(岩波文庫)
1848年に発表された、マルクス主義の原点にして最も有名なテクストです。
「万国の労働者よ、団結せよ!」──歴史を動かしたこの一文は、ここから生まれました。
わずか100ページほどの短い文書ですが、階級闘争、ブルジョアジーとプロレタリアートの対立、資本主義の自己矛盾を鋭く描き出しています。
マルクスを読むなら、まず最初に手にとるべき一冊です。



短いのに密度が凄まじい。「世界を変えたパンフレット」を体験できます。
白井聡『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)
『永続敗戦論』で話題を呼んだ白井聡氏が、『資本論』を現代の「武器」として読み直す野心的な一冊です。
「格差社会はなぜ生まれるのか」「自己啓発書を読んでも救われないのはなぜか」──日常の疑問を、商品・包摂・剰余価値・本源的蓄積といったキーワードで解き明かします。
資本主義を「内面化」してしまった私たちの生き方そのものを問い直す、刺激的な読書体験です。
マルクスの理論が「自分ごと」になる一冊です。



「自己責任」で片付けられない問題の構造がわかる。現代人のための資本論です。
斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)
新書大賞2021を受賞した大ベストセラーです。
斎藤幸平氏は、晩期マルクスの研究ノートに注目し、「脱成長コミュニズム」という新しい社会像を提唱しました。
SDGsだけでは気候危機は解決できない──この主張は、多くの読者に衝撃を与えました。
マルクスを「過去の思想家」ではなく「未来を拓く思想家」として蘇らせた、21世紀のマルクス論の決定版です。



「マルクスがこんなに現代的だったとは」と驚く一冊。環境問題に関心がある方にも。
マルクス『資本論』(岩波文庫・向坂逸郎訳)
マルクスが「生涯の事業」と呼び、レーニンが「現世紀最大の政治経済学上の著作」と評した不朽の名著です。
近代資本主義社会の経済的運動法則を徹底的に究明し、商品、貨幣、資本、剰余価値、蓄積の構造を解明しました。
岩波文庫版は全9巻。向坂逸郎訳がディーツ版を底本にした定訳として広く読まれています。
入門書を読んでから挑戦するのがおすすめです。まずは第1巻だけでも。



ついに原典。入門書で準備してから読むと、マルクスの凄みがわかります。
田上孝一『99%のためのマルクス入門』(晶文社)
『資本論』『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』などの主要著作を通じて、「現代社会でいますぐ使えるマルクス」を提示する一冊です。
タイトルの「99%」は、現代社会の格差構造──富が1%に集中する世界──を指しています。
マルクスの理論を現代の格差問題、労働問題、環境問題と直接つなげて読み解いています。
「マルクスは過去の人」と思っている方に、ぜひ読んでほしい一冊です。



マルクスを「現代の武器」として使い直す。社会問題に関心がある方に最適です。




本をお得に効率よくインプットするコツ2選


マルクス関連の本をもっと読みたいと思ったとき、すべてを購入するのは負担が大きいですよね。
そこで、僕がふだん活用している2つのサービスを紹介します。
12万冊が耳で聴けるAudibleプレミアム


Audibleは、Amazonが提供するオーディオブックサービスです。
月額1,500円で12万冊以上が聴き放題になります。
通勤中や家事のあいだに、マルクス関連の名著を「聴く」ことができます。
30日間の無料体験もあるので、気になる方はまず試してみてください。
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500万冊が読み放題のKindle Unlimited


Kindle Unlimitedは、月額980円で500万冊以上の電子書籍が読み放題になるサービスです。
マルクス関連の書籍も対象に含まれていることがあります。
気になる本を気軽に試し読みできるので、自分に合う一冊を見つけるのに最適です。
\ 500万冊の電子書籍が読み放題 /
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マルクス主義の本を読む順番ガイド


最後に、今回紹介した10冊をどの順番で読むとよいか、ステップ別にまとめます。
| ステップ | 目的 | おすすめ本 |
|---|---|---|
| Step 1 | マルクスの考え方を知る | 池上彰 or 木暮太一の入門書 |
| Step 2 | 資本論のエッセンスをつかむ | 的場昭弘『超訳「資本論」』 |
| Step 3 | 現代との接点を理解する | 白井聡 or 斎藤幸平 |
| Step 4 | マルクスの原点に触れる | 『共産党宣言』(わずか100頁) |
| Step 5 | 原典に挑戦する | マルクス『資本論』第1巻から |
まずは池上彰や木暮太一の入門書でマルクスのハードルを下げ、白井聡や斎藤幸平で「現代に効くマルクス」を知るのが王道のルートです。
そのあと『共産党宣言』の衝撃を体験してから、いよいよ『資本論』に挑戦してみてください。


まとめ


マルクス主義は、150年以上前に生まれた思想です。
しかし、格差の拡大、気候危機、働いても豊かにならない社会──マルクスが描いた問題は、今もなお私たちの目の前にあります。
今回紹介した10冊は、マルクスの思想を知り、現代社会を「問い直す」ための最良の道しるべです。
気になった一冊を手にとって、資本主義の「あたりまえ」を揺さぶる知的体験をしてみてください。
























