悩んでいる人宮部みゆきの作品は多すぎて、どれから読めばいいか迷う。
宮部みゆきは、現代ミステリ・社会派長編・江戸時代小説・ファンタジー・SFまで、幅広いジャンルを書き分ける現代日本を代表する作家です。
『火車』『模倣犯』『ソロモンの偽証』『ブレイブ・ストーリー』など、ジャンルを超えた代表作を多数発表しており、最初の一冊で迷う読者の多い作家でもあります。
そこで本記事では、宮部みゆきのおすすめ本を5ジャンルに分けて20冊紹介し、「目的別早見表」と「シリーズの読む順番」もまとめて整理します。
本記事の内容は、下記のとおりです。
- 目的別に1冊が決まる早見表
- 代表作・社会派長編・江戸時代・ファンタジー・短編の20冊
- 杉村三郎・ぼんくら・三島屋・ブレイブストーリーなどシリーズの読む順番
- Audible・Kindle Unlimitedでの読み方
この記事を読めば、宮部みゆきの中から最初に読む一冊を、その場で決められるはずです。
目的別・宮部みゆきの最初の一冊早見表
| こんな気分なら | おすすめの一冊 |
|---|---|
| 迷ったら最初に読む | 火車 |
| 読みやすい初期代表作 | 魔術はささやく |
| 直木賞受賞作で外したくない | 理由 |
| 圧倒的なボリュームで読み応えを求める | 模倣犯(全5巻) |
| 青春ミステリーの大作に浸りたい | ソロモンの偽証(全6巻) |
| 江戸・時代小説で人情系 | ぼんくら / 初ものがたり |
| ファンタジーで冒険したい | ブレイブ・ストーリー |
気分にぴったりの一冊が決まったら、そのまま該当の本へジャンプできます。詳細を確認したい方は、このあとのジャンル別解説も参考にしてください。
宮部みゆきとは?作風と魅力


宮部みゆきは1987年に『我らが隣人の犯罪』でデビューし、現代ミステリ・江戸時代小説・ファンタジー・SFと多彩なジャンルを書き分ける作家です。
緻密な人間ドラマと骨太なストーリーテリングで知られ、社会派の長編から軽やかな連作短編、江戸の人情ものまで、読者の気分に合わせて選べる幅広さが魅力です。
主な受賞歴としては、『火車』で第6回山本周五郎賞、『理由』で第120回直木賞、『蒲生邸事件』で第18回日本SF大賞、『名もなき毒』で第41回吉川英治文学賞、『龍は眠る』で第45回日本推理作家協会賞など、ジャンルを横断して評価を受けています。
本記事でおすすめする20冊は、こんな方に向いています。
- 宮部みゆきを初めて読む方
- 『模倣犯』『ソロモンの偽証』のような長編大作を読破したい方
- 江戸・時代小説で人情ものや怪談を楽しみたい方
- ファンタジー・SFや超能力ものも一冊試してみたい方
まず押さえたい宮部みゆきの代表作


宮部作品を読むなら、まずこの4冊から押さえると全体像が掴みやすくなります。
現代社会派・初期エンタメ・直木賞受賞作・連作短編と、方向性の違う代表作を4冊選びました。
- 『火車』(新潮文庫)
- 『魔術はささやく』(新潮文庫)
- 『理由』(朝日文庫)
- 『ステップファザー・ステップ』(講談社文庫)
宮部みゆき『火車』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1992年/文庫1998年 | 約580ページ | 中級者向け |
『火車』は、第6回山本周五郎賞を受賞した、宮部みゆきの代表作のひとつです。
休職中の刑事・本間俊介が、遠縁の青年に頼まれて失踪した婚約者の行方を追ううちに、多重債務と消費者ローンの闇が浮かび上がる長編サスペンスです。
1990年代の社会問題を題材にしながら、人間の生き方そのものに踏み込む筆致で、宮部作品の社会派路線の到達点を象徴する一冊として読まれてきました。
現代ミステリの最高傑作候補としてしばしば挙げられる作品で、ミステリを普段あまり読まない方にも届くタイプの長編です。
「宮部みゆきを最初に読むなら」というときに、まず候補に挙げたい一冊です。
宮部作品で迷ったら、最初に手に取ってまず外さない代表作です。
宮部みゆき『魔術はささやく』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1989年/文庫1992年 | 約500ページ | 初〜中級者向け |
『魔術はささやく』は、第2回日本推理サスペンス大賞を受賞した、宮部みゆきの初期代表作です。
連続不審死事件と、被害者たちが残した「奇妙な言葉」の謎が交錯するなかで、16歳の少年・日下守が真相に近づいていく長編サスペンスです。
サブリミナル効果という当時の話題を題材に取り入れた、エンタメ性の高い読み心地で、宮部作品の入り口として広く読まれてきました。
後年の『火車』『模倣犯』のような重厚さよりも、テンポの良さで読み進められるため、長編に慣れていない方にも入りやすい一冊です。
「宮部みゆきの読みやすい代表作を1冊」という方に、最初に推せる作品です。
宮部作品の入り口として、もっとも軽やかに読み進められる長編です。
宮部みゆき『理由』(朝日文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1998年/文庫2004年(朝日文庫) | 約580ページ | 中級者向け |
『理由』は、第120回直木賞を受賞した、宮部みゆきの社会派長編の代表作です。
東京・荒川区のタワーマンションで起きた一家4人殺害事件を、関係者へのインタビュー形式で多角的に描く実験的な構成の一冊です。
「殺害された一家は、本来そのマンションに住んでいるはずではなかった」という謎をきっかけに、競売物件・占有屋・都市生活の歪みが浮かび上がります。
ミステリの謎解きというより、現代社会のドキュメンタリーに近い読み心地で、社会派ノンフィクションが好きな方にも届く一冊です。
「直木賞受賞作で外したくない」方に、強く推せる代表作です。
宮部作品の社会派路線の到達点を、別の角度から味わえる長編です。
宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』(講談社文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1993年/文庫1996年 | 約340ページ | 初心者向け |
『ステップファザー・ステップ』は、ふとした弾みで双子の中学生兄弟と暮らすことになった泥棒が主人公の、連作短編集です。
妻に逃げられた直後の双子兄弟と、空き巣稼業のプロが「擬似家族」として日常の謎を解いていく、心温まる代表作です。
宮部作品としては『火車』『模倣犯』とは対極のユーモアと優しさが前面に出ており、長編が苦手な方にも入りやすい構成です。
1話あたりが短いため、通勤・休憩時間にも読みやすく、宮部作品の幅を体感する1冊として向きます。
「ミステリより人間ドラマ寄りで宮部作品を読みたい」方に、最初の候補として推せます。
重い宮部作品の合間に、ふっと優しい気持ちになれる連作短編です。
現代ミステリー・社会派長編のおすすめ宮部みゆき作品


じっくり読みたい方に向けた、宮部作品の社会派・本格ミステリ長編です。
『模倣犯』『ソロモンの偽証』など全巻ものの大作と、『楽園』『レベル7』の長編サスペンスを集めました。
- 『模倣犯 1』(新潮文庫)
- 『ソロモンの偽証 第I部 事件 上』(新潮文庫)
- 『楽園 上』(文春文庫)
- 『レベル7』(新潮文庫)
宮部みゆき『模倣犯 1』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2001年/文庫2005年(全5巻) | 約500ページ(1巻) | 中〜上級者向け |
『模倣犯』は、毎日出版文化賞・芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した、宮部みゆきの代表的な超大作です。
都内で起きた連続誘拐殺人事件を、被害者の家族・犯人・マスコミ・警察など多角的な視点で描いた、全5巻の長編シリーズです。
犯人の正体・動機・社会への影響までを徹底的に描き切る構成で、現代日本のエンタメ小説の到達点として読み継がれています。
全5巻と分量が大きいため、最初の1冊というよりは、宮部作品に慣れてから腰を据えて読むタイプの大作です。
「圧倒的なボリュームで読み応えを求める」方に、強く推せる長編大作です。
宮部作品を本格的に味わいたくなったら、必ず通りたい超大作です。
宮部みゆき『ソロモンの偽証 第I部 事件 上』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2012年/文庫2014年(全6巻) | 約460ページ(1巻) | 中〜上級者向け |
『ソロモンの偽証』は、青春ミステリの大作として知られる、宮部みゆきの全6巻の長編シリーズです。
クリスマスの朝、中学校の屋上から落ちて亡くなった同級生・柏木卓也の死をめぐり、生徒たち自身が「学校内裁判」を開く物語が描かれます。
事件編・決意編・法廷編の三部構成で、子どもたちが大人の世界に踏み込みながら真実に近づいていく姿が、長い時間軸で描かれます。
全6巻と分量が大きいため、最初の1冊というよりは、宮部作品に慣れてから読みたい青春ミステリの金字塔です。
「中学生の視点で本格ミステリを読みたい」方に、強く推せる長編大作です。
中高生から大人まで、世代を超えて夢中になれる青春ミステリです。
宮部みゆき『楽園 上』(文春文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2007年/文庫2010年(上下巻) | 約460ページ(上巻) | 中級者向け |
『楽園』は、『模倣犯』のフリーライター・前畑滋子を主役にした続編にあたる長編サスペンスです。
12歳の少年が描いた絵が「事件の真相」を示しているのではないかという依頼から、滋子が16年前の家族の事件を追いかけていく構成です。
『模倣犯』の世界観と地続きですが、本作単独でも十分楽しめる仕立てで、宮部作品らしい現代社会への目配りが効いています。
上下巻の長編ですが、章ごとのテンポがよく、長編が初めての方でも進めやすい構成です。
「『模倣犯』を読み終えたあと、その世界に戻りたい」方に強く推せる続編です。
『模倣犯』の余韻を、別の事件と人物像で味わい直せる長編です。
宮部みゆき『レベル7』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1990年/文庫1993年 | 約700ページ | 中級者向け |
『レベル7』は、1990年に刊行された宮部みゆきの初期代表作のひとつです。
記憶喪失で目覚めた若い男女と、行方不明の女子高校生を捜す女性カウンセラー、その二つの物語が次第に交差していく長編サスペンスです。
「レベル7まで行ったら戻れない」という謎の言葉を軸に、複数の視点が交わるサスペンスは、後年の宮部作品の構成の原型として読めます。
『火車』『模倣犯』より前の宮部作品を体験したい方にとって、初期の勢いを感じられる一冊です。
「初期の宮部みゆき作品も押さえたい」方に、強く推せるサスペンスです。
後年の代表作の原点が見える、初期の力作です。
江戸・時代小説のおすすめ宮部みゆき作品


宮部作品のもうひとつの柱は、江戸を舞台にした時代小説・怪談ものです。
『ぼんくら』『初ものがたり』のシリーズと、『おそろし』『あやし』の怪異・短編をまとめて紹介します。
- 『ぼんくら 上』(講談社文庫)
- 『初ものがたり』(新潮文庫)
- 『おそろし 三島屋変調百物語事始』(角川文庫)
- 『あやし』(角川文庫)
宮部みゆき『ぼんくら 上』(講談社文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2000年/文庫2004年(上下巻) | 約460ページ(上巻) | 中級者向け |
『ぼんくら』は、宮部みゆきの江戸時代小説で、同心・井筒平四郎を主役にしたシリーズ第1作です。
深川の鉄瓶長屋で起きる不可解な事件を、人情味あふれる「ぼんくら同心」と呼ばれる平四郎がのんびりと解いていく連作の長編です。
事件のスケールよりも、長屋の住人ひとりひとりの暮らしと心情を丁寧に描く筆致が魅力で、時代小説に不慣れな方にも入りやすい一冊です。
続編『日暮らし』『おまえさん』へと続くシリーズで、宮部時代小説の代表的なライン上に位置する作品です。
「宮部みゆきの時代小説でおすすめは?」と聞かれたら、まず推せるシリーズの第1作です。
時代小説の入り口として、もっとも肩の力を抜いて読める一冊です。
宮部みゆき『初ものがたり』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1995年/文庫1999年 | 約400ページ | 初〜中級者向け |
『初ものがたり』は、宮部みゆきの江戸時代小説で、岡っ引き・回向院の茂七を主役にした連作短編集です。
鰹・鮭・柿といった「初物」の食べ物を題材に、深川の人情と季節感、そして事件解決を絡めて描く構成です。
1話あたりが短いため、通勤・休憩時間にも読み進めやすく、時代小説の入り口として向く一冊です。
宮部時代小説のなかでもとくに「江戸の食」が魅力的に描かれ、グルメ要素のある時代もの好きにも刺さる一冊です。
「江戸の人情と食を一緒に味わいたい」方に、強く推せる連作短編集です。
食欲をそそる江戸の旬を、宮部みゆきの筆で味わえる一冊です。
宮部みゆき『おそろし 三島屋変調百物語事始』(角川文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2008年/文庫2012年 | 約530ページ | 中級者向け |
『おそろし 三島屋変調百物語事始』は、江戸の袋物屋・三島屋を舞台にした怪談シリーズの第1作です。
心の傷を抱えた17歳の娘・おちかが、訪れる客の「変な話」「不思議な話」をひとりで聴き続ける「変調百物語」の形式で物語が進みます。
怪談仕立てですが、ホラー一辺倒ではなく、人の心の闇と再生を描く構成で、宮部時代小説の新しい方向性を打ち出した一冊として知られます。
シリーズはその後も継続しており、本作はシリーズの世界観に入る入り口として位置づけられます。
「宮部みゆきで江戸怪談を楽しみたい」方に、強く推せるシリーズの第1作です。
怖さよりも切なさが残る、宮部みゆき版の江戸怪談です。
宮部みゆき『あやし』(角川文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2000年/文庫2003年 | 約460ページ | 初〜中級者向け |
『あやし』は、宮部みゆきの江戸時代小説のなかでも、怪異・不思議をテーマにした短編集です。
9編の短編それぞれで、江戸の市井の人々が出会う「あやしい」出来事と、その背後にある人の心が描かれます。
怪談仕立てのものから、しんみりとした人情ものまで幅広く、宮部作品の時代もの・怪談ものの両方の魅力が一冊で味わえます。
1編あたりが短いため、長編に挑む前の足慣らしや、長編を読み終えた後の余韻として手に取りやすい一冊です。
「江戸の怪異を短編で味わいたい」方に、強く推せる一冊です。
夜長にひとつずつ読み進めたい、宮部みゆきの江戸怪異集です。
ファンタジー・SF・超能力のおすすめ宮部みゆき作品


宮部作品はファンタジー・SF・超能力ものでも代表作を持つ、ジャンル横断の作家です。
冒険ファンタジー『ブレイブ・ストーリー』、SF大賞の『蒲生邸事件』、超能力長編『龍は眠る』『クロスファイア』を選びました。
- 『ブレイブ・ストーリー 上』(角川文庫)
- 『蒲生邸事件』(文春文庫)
- 『龍は眠る』(新潮文庫)
- 『クロスファイア 上』(光文社文庫)
宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー 上』(角川文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2003年/文庫2006年(上下巻) | 約580ページ(上巻) | 中級者向け |
『ブレイブ・ストーリー』は、不幸な家庭環境にある少年・三谷亘が、自らの運命を変えるために異世界へ旅立つ冒険ファンタジー長編です。
両親の離婚を目の前にした亘が、幻界(ヴィジョン)と呼ばれる異世界で、5つの宝石を集める旅に出る物語が、上下巻にわたって描かれます。
ファンタジーの王道を踏襲しつつ、家族・友情・成長といった現代の少年小説のテーマも織り込まれた、宮部作品のなかでも特に幅広い読者に届く一冊です。
映画化・ゲーム化もされた人気作で、ファンタジーを読み慣れていない大人でも入りやすい構成です。
「宮部みゆきでファンタジー長編を読みたい」方に、強く推せる一冊です。
宮部作品の意外な一面に触れたい方に、ぜひ読んでほしい長編です。
宮部みゆき『蒲生邸事件』(文春文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1996年/文庫2000年 | 約580ページ | 中級者向け |
『蒲生邸事件』は、第18回日本SF大賞を受賞した、宮部みゆきの時間SF長編です。
予備校生・尾崎孝史が、宿泊先のホテル火災に巻き込まれた瞬間、二・二六事件の最中の昭和11年へタイムスリップする物語です。
歴史改変SFの古典的なテーマを、宮部らしい人物描写と社会派の視点で描いた、ジャンルを横断する代表作のひとつです。
SFファンだけでなく、戦前日本の雰囲気を味わえる歴史小説としても読める、宮部作品の隠れた名作とされる長編です。
「宮部みゆきでSF・タイムスリップを読みたい」方に、強く推せる受賞作です。
宮部作品のジャンル横断ぶりを、最もよく示す一冊です。
宮部みゆき『龍は眠る』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1991年/文庫1995年 | 約500ページ | 中級者向け |
『龍は眠る』は、第45回日本推理作家協会賞を受賞した、宮部みゆきの超能力ミステリ長編です。
雨の夜に出会った謎の少年と、雑誌記者・高坂昭吾が、念力をもつ人々と犯罪をめぐる事件に巻き込まれていく物語です。
超能力を題材にしながら、人間の暴力と倫理を正面から扱う筆致は、後年の『クロスファイア』とも通じる宮部作品の系譜にあたります。
宮部作品の超能力ものとしては最初期の代表作で、社会派ミステリの読者にも届くタイプの長編です。
「宮部みゆきの超能力ものから入りたい」方に、最初の候補として推せる長編です。
超能力ものなのに、社会派サスペンスとして読める一冊です。
宮部みゆき『クロスファイア 上』(光文社文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1998年/文庫2002年(上下巻) | 約460ページ(上巻) | 中級者向け |
『クロスファイア』は、発火能力(パイロキネシス)を持つ女性・青木淳子を主役にした、宮部みゆきの超能力サスペンス長編です。
犯罪者に対して「私刑」を行う淳子と、彼女を追う警察、そして同じ能力を持つ別の人物との対決が、上下巻にわたって描かれます。
『龍は眠る』とは別系統の超能力ものですが、暴力と正義のあいだで揺れる人物像という宮部作品の核心は共通しています。
矢田亜希子主演で映画化された人気作で、エンタメ要素の強い宮部作品を楽しみたい方に向く長編です。
「宮部みゆきのエンタメ寄りの超能力もの」を読みたい方に、強く推せる一冊です。
宮部作品の中でも、特にスピード感のある超能力サスペンスです。
短編・シリーズ・隠れた名作のおすすめ宮部みゆき作品


大長編ではなく、短編や別シリーズ、隠れた名作で宮部作品を楽しみたい方に向く4冊です。
杉村三郎シリーズの第1作『誰か Somebody』と第2作『名もなき毒』、デビュー作を含む短編集『我らが隣人の犯罪』、静かな余韻が残る時代長編『孤宿の人』を集めました。
- 『誰か Somebody』(文春文庫)
- 『名もなき毒』(文春文庫)
- 『我らが隣人の犯罪』(文春文庫)
- 『孤宿の人 上』(新潮文庫)
宮部みゆき『誰か Somebody』(文春文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2003年/文庫2007年 | 約430ページ | 初〜中級者向け |
『誰か Somebody』は、会社員兼ライター・杉村三郎が登場するシリーズの第1作です。
大企業のオーナー家の婿養子になった三郎が、義父の運転手をひき逃げした犯人を探す調査を引き受けるところから物語が始まります。
派手な事件は起きませんが、平凡な人々の小さな悪意と善意を丁寧に拾い上げる筆致は、シリーズ全体に通底する魅力です。
杉村三郎シリーズはこのあと『名もなき毒』『ペテロの葬列』などへと続くため、順番に楽しみたい方は本作からの読書がおすすめです。
「杉村三郎シリーズを最初から追いたい」方に、必ず推せるシリーズ第1作です。
派手さよりも、人の心の機微で読ませる宮部作品の代表シリーズです。
宮部みゆき『名もなき毒』(文春文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2006年/文庫2010年 | 約500ページ | 中級者向け |
『名もなき毒』は、第41回吉川英治文学賞を受賞した、杉村三郎シリーズの第2作です。
東京で起きた青酸カリ無差別事件と、三郎が勤める会社の問題社員をめぐる調査が並行して進む、社会派ミステリの長編です。
「日常の中に潜む毒」を主題に、現代社会の閉塞感と人間関係の歪みを掘り下げる構成は、宮部作品らしい筆致が冴える一冊です。
シリーズの順番を重視するなら、第1作『誰か Somebody』から読み始めるのがおすすめです(H2-5で紹介しています)。
「杉村三郎シリーズで一冊だけ読むなら」と聞かれたとき、よく挙がる代表作です。
シリーズ第1作と並ぶ、杉村三郎シリーズの中核となる一冊です。
宮部みゆき『我らが隣人の犯罪』(文春文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本1990年/文庫1993年 | 約300ページ | 初〜中級者向け |
『我らが隣人の犯罪』は、宮部みゆきのデビュー作を含む初期の短編集です。
表題作はオール讀物推理小説新人賞の受賞作で、隣家の犬の鳴き声に悩まされた中学生兄妹が「犬の誘拐」を計画する、ユーモアの効いた一編です。
5編の短編それぞれに宮部作品の原型となる「人の悪意と善意の交差」が見られ、後年の長編につながるエッセンスが詰まっています。
長編に挑む前の入り口としても、宮部作品ファンが「原点」を確認するためにも、繰り返し読まれてきた短編集です。
「宮部みゆきの原点を短編で味わいたい」方に、強く推せる一冊です。
1作あたりが短く、宮部作品の幅を効率よく味わえる短編集です。
宮部みゆき『孤宿の人 上』(新潮文庫)
| 刊行情報 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 単行本2005年/文庫2008年(上下巻) | 約500ページ(上巻) | 中〜上級者向け |
『孤宿の人』は、宮部みゆきの江戸時代ヒューマンドラマを代表する長編のひとつです。
江戸で身寄りをなくした幼い少女・ほうが、四国の丸海藩へ流れ着き、罪人として遠流された大物・加賀殿の世話をする物語です。
ミステリ的な謎解きよりも、人と人がどう寄り添い、赦すかという主題が、長い時間軸で丁寧に描かれていきます。
上下巻と分量がありますが、宮部作品の時代もので「読後に何かが残る」タイプの長編として、ファンの間で評価の高い一冊です。
「宮部みゆきの時代ヒューマンドラマで深い余韻を味わいたい」方に、強く推せる長編です。
宮部作品のなかでも、特に静かな読後感が残る時代長編です。
宮部みゆき作品の読む順番ガイド


宮部作品はシリーズが複数あるため、「どのシリーズをどの順番で読むか」で迷いやすいです。ここでは、代表的なシリーズ4本の読む順番を整理します。
杉村三郎シリーズの読む順番
杉村三郎シリーズは、主人公の境遇が巻ごとに変わっていくため、刊行順に読むのが基本です。
| 順番 | 書名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 誰か Somebody | シリーズ第1作 |
| 2 | 名もなき毒 | シリーズ第2作(吉川英治文学賞) |
| 3 | ペテロの葬列 | シリーズ第3作 |
| 4 | 希望荘 | シリーズ第4作 |
| 5 | 昨日がなければ明日もない | シリーズ第5作 |
シリーズの順番を重視するなら、必ず『誰か Somebody』から読み始めるのがおすすめです。
ぼんくら(井筒平四郎)シリーズの読む順番
江戸時代の同心・井筒平四郎を主役にしたシリーズも、刊行順に読むのが分かりやすい構成です。
| 順番 | 書名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | ぼんくら | シリーズ第1作 |
| 2 | 日暮らし | シリーズ第2作 |
| 3 | おまえさん | シリーズ第3作 |
三島屋変調百物語シリーズの読む順番
江戸の袋物屋・三島屋を舞台にした怪談シリーズも、第1作から順番に読むと主人公・おちかの成長が掴みやすくなります。
| 順番 | 書名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | おそろし 三島屋変調百物語事始 | シリーズ第1作 |
| 2 | あんじゅう 三島屋変調百物語事続 | シリーズ第2作 |
| 3 | 泣き童子 三島屋変調百物語参之続 | シリーズ第3作 |
| 4 | 三鬼 三島屋変調百物語四之続 | シリーズ第4作 |
| 5 | あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続 | シリーズ第5作(以降も継続) |
ブレイブ・ストーリー関連の読む順番
『ブレイブ・ストーリー』は上下巻の本編のあと、外伝・続編が刊行されています。
- ブレイブ・ストーリー(上下巻・本編)
- 英雄の書(関連作品・幻界を舞台にした長編)
- 悲嘆の門(関連作品・現代側の続編的長編)
宮部みゆき作品についてよくある質問


宮部みゆきを読み始めるときによくある質問を、8件まとめました。
本をお得に効率よくインプットするコツ2選


宮部みゆきの代表作は、Audible・Kindle Unlimitedを併用すると効率よく楽しめます。
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オーディブルなら、通勤や家事の合間にも宮部みゆきの代表作を「耳読」で楽しめます。
『火車』『模倣犯』『ソロモンの偽証』など、長編大作も朗読版が配信されている時期があり、移動時間を読書時間に変えやすいサービスです。
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宮部作品も時期によって読み放題の対象になることがあり、気になる一冊を試し読みする入り口として使えます。
30日間の無料体験中に、本記事で紹介した20冊のうち対象になっているものを試してみるのがおすすめの使い方です。対象作品は時期によって変わるため、最新情報はAmazon公式のKindle Unlimitedページで確認してください。
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まとめ


宮部みゆきは、現代ミステリ・社会派長編・江戸時代小説・ファンタジー・SFまで、ジャンル横断で第一線を走り続けている作家です。
本記事で紹介した20冊は、いずれも宮部作品の代表作・人気作・隠れた名作で、最初の一冊として手に取りやすい本ばかりです。
| 書名 | ジャンル | 難易度 |
|---|---|---|
| 火車 | 代表作 | |
| 魔術はささやく | 代表作 | |
| 理由 | 代表作 | |
| ステップファザー・ステップ | 代表作 | |
| 模倣犯 | 現代ミステリ・社会派長編 | |
| ソロモンの偽証 第I部 事件 上 | 現代ミステリ・社会派長編 | |
| 楽園 | 現代ミステリ・社会派長編 | |
| レベル7 | 現代ミステリ・社会派長編 | |
| ぼんくら | 江戸・時代小説 | |
| 初ものがたり | 江戸・時代小説 | |
| おそろし 三島屋変調百物語事始 | 江戸・時代小説 | |
| あやし | 江戸・時代小説 | |
| ブレイブ・ストーリー | ファンタジー・SF・超能力 | |
| 蒲生邸事件 | ファンタジー・SF・超能力 | |
| 龍は眠る | ファンタジー・SF・超能力 | |
| クロスファイア | ファンタジー・SF・超能力 | |
| 誰か Somebody | 短編・シリーズ・隠れた名作 | |
| 名もなき毒 | 短編・シリーズ・隠れた名作 | |
| 我らが隣人の犯罪 | 短編・シリーズ・隠れた名作 | |
| 孤宿の人 | 隠れた名作・時代長編 |
まずは「目的別早見表」で気になる一冊を選び、そこからシリーズや別ジャンルへ広げていくと、宮部作品の楽しみ方が立体的に増えていきます。
宮部みゆき作品が収録される文庫レーベルや、現代エンタメ・歴史小説の関連記事もあわせて読むと、視野を広げやすくなります。
気になる一冊を見つけたら、まずは1冊試しに読んでみるところから始めてみてください。
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