横山秀夫は警察組織とそこで働く人間を緻密に描くため、D県警、F県警、単独長編の違いが分かりにくいことがあります。
この記事では横山秀夫のおすすめ16冊を、知名度、受賞・映像化、シリーズの入口、読みやすさを基準にランキングで紹介します。
『64』『クライマーズ・ハイ』『半落ち』から入り、警察短編、社会派長編、異色作へ進む順番です。
上位から読むと、組織小説の緊張感から静かな人間ドラマまで味わえます。
ここからは、横山秀夫の本を初めて読む人が入りやすく、代表作から関心を広げやすい順に16冊を紹介します。
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1位:『64(ロクヨン)』(横山秀夫)
『64(ロクヨン)』は、横山秀夫のD県警を舞台にした長編で、警察小説の代表作のひとつとされる作品です。
昭和64年に発生した未解決誘拐事件「ロクヨン」と、時効を目前にした警察組織の対立を、広報官・三上義信の視点で描いた重厚な長編です。
刑事部と警務部の権力闘争、地方紙との攻防、家族の問題まで多層的に絡み合う構成で、警察小説の代表作として、いまも読み継がれている作品です。
文春文庫版は上下巻に分かれているため、購入時は下巻もあわせて確認しておくと安心です。本記事のリンクは上巻なので、続けて下巻を手元に揃えてから読み始めるのがおすすめです。
2位:『クライマーズ・ハイ』(横山秀夫)
『クライマーズ・ハイ』は、横山秀夫が新聞記者時代の経験をもとに書いた、日航機墜落事故報道を題材にした長編です。
1985年8月12日、群馬県の山中に墜落した日航123便の事故を、地方紙の遊軍記者・悠木和雅の目線で追う、熱量の高い長編が描かれます。
新聞社の組織と編集現場の緊張、世代間の確執、報道の使命と現場の葛藤が、登山という別の視点と並行して描かれる構成です。
原田眞人監督で映画化、NHKでドラマ化もされた人気作で、原作の方が新聞社の内部描写の厚みを味わえます。
3位:『半落ち』(横山秀夫)
『半落ち』は、横山秀夫の長編で、第128回直木賞候補にもなった社会派ミステリの代表作です。
妻を殺害したと自首した元警部・梶聡一郎が、自供から逃げないにもかかわらず「2日間の空白」だけを語ろうとしない、その動機をめぐる長編です。
刑事・検事・新聞記者・弁護士・刑務官など、関係者それぞれの視点が章ごとに切り替わる構成で、人間ドラマと社会派ミステリの両側を読ませます。
ベテランから初心者まで届く読み心地で、横山作品の社会派路線の到達点として広く読まれてきた一冊です。
4位:『第三の時効』(横山秀夫)
『第三の時効』は、F県警強行犯シリーズの代表的な連作短編集です。
「沈黙のアリバイ」「第三の時効」「囚人のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソナの微笑」「モノクロームの反転」の6篇で構成され、強行犯一課の三班長それぞれの個性と矜持が描かれます。
1編あたりがコンパクトでありながら、警察組織内部の駆け引きと本格ミステリの仕掛けが両立しており、横山短編の真骨頂が味わえます。
F県警強行犯シリーズはこのあと『臨場』とは別系統で続いていく、横山作品の代表的な短編連作です。
5位:『臨場』(横山秀夫)
『臨場』は、終身検視官と呼ばれる倉石義男を主人公にした連作短編集です。
事件現場に「臨場」した倉石が、検死所見をきっかけに事件の真相を見抜いていく、本格ミステリ短編集です。
「上に立つために部下を使う」ことを拒み、現場の検視に徹する倉石の生き方が、シリーズ全体の魅力を支えています。
テレビ朝日で内野聖陽主演でドラマ化された人気作で、ドラマから入っても原作の短編構成を楽しめます。
6位:『陰の季節』(横山秀夫)
『陰の季節』は、D県警人事課・二渡真治を主人公にした連作短編集で、横山秀夫のサスペンス短編の起点となる代表作です。
第5回サントリーミステリー大賞・読者賞を受賞した表題作を含む4篇で、警察組織内部の人事・派閥・隠蔽の力学が描かれます。
派手な事件解決ではなく、「組織のなかで人がどう動くか」という主題に正面から取り組む筆致で、後年の『64』につながる原点的な一冊です。
D県警を舞台にした連作短編の出発点でもあり、横山作品のサラリーマン社会派ミステリ路線を象徴する一冊です。
7位:『動機』(横山秀夫)
『動機』は、第53回日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む、横山秀夫の連作短編集です。
警察手帳30冊の紛失事件を扱った表題作「動機」、新聞社の連載コラム執筆を巡る「逆転の夏」など、警察・新聞社・裁判所など組織を舞台にした4篇が収められます。
短編一篇のなかで、組織人としての矜持と私情のあいだで揺れる人物像をきっちり描き切る筆致が、横山短編の到達点として高く評価されています。
『陰の季節』『顔 FACE』と並ぶ、横山短編の代表作のひとつとして読み継がれている一冊です。
8位:『ノースライト』(横山秀夫)
『ノースライト』は、横山秀夫が10年ぶりに発表した長編で、住宅設計士・青瀬稔を主人公にした建築ミステリです。
信濃追分に建てた「Y邸」が、引き渡し直後に住人が消えて空き家になっていたことから始まる、家と人の謎が描かれます。
建築家ブルーノ・タウトと戦前の日本の関係を背景に、設計士のキャリアと家族の物語が重層的に進む構成です。
警察小説とは異なる主題ですが、組織のなかで葛藤する人物像という横山作品の核心は本作にも貫かれています。
9位:『震度0』(横山秀夫)
『震度0』は、阪神・淡路大震災が起きた1995年1月17日の朝、N県警本部から失踪した警務課長の謎を描く長編です。
震災のニュースが流れるなか、消えた警務課長を探すべき警察組織の内部で、保身と出世の駆け引きが繰り広げられていきます。
事件のスケールよりも、危機のなかでも組織人たちが平時の論理を捨てられない皮肉が前面に出る、横山らしい社会派ミステリです。
派手な解決ではなく「組織の地金」を浮かび上がらせる読み心地で、警察小説好きの読者に刺さる一冊です。
10位:『ルパンの消息』(横山秀夫)
『ルパンの消息』は、横山秀夫が新人賞応募作として書き上げた長編を、後年大幅に改稿して刊行した警察ミステリです。
15年前に解決済みとされた女性教師の自殺事件が、時効寸前の通報をきっかけに「殺人」として再捜査される、時効ミステリの長編です。
高校生時代の友人関係・恋愛・嫉妬・隠された真相が、現在の刑事たちの捜査と並行して明らかになっていく構成です。
横山作品としては比較的若い時期の感覚が残る一冊で、本格ミステリ寄りの読み心地を楽しみたい方に向きます。
11位:『顔 FACE』(横山秀夫)
『顔 FACE』は、D県警広報官・平野瑞穂を主人公にした連作短編集です。
警察官の似顔絵を描く女性巡査・平野瑞穂が、事件の渦中でキャリアと女性として直面するさまざまな壁を乗り越えていく姿が描かれます。
警察内部のテクニカルな職務(似顔絵捜査)を題材にしながら、組織のなかでの女性の働き方というテーマも織り込まれた構成です。
1編ずつが軽快に読めるため、横山作品の短編路線を体感したい方に向く一冊です。
12位:『深追い』(横山秀夫)
『深追い』は、架空の小都市・三ツ鐘署を舞台にした、横山秀夫の警察連作短編集です。
刑事課ではなく、交通課・生活安全課・地域課など、現場の制服警察官たちが主人公になる7篇で構成されています。
華やかな捜査の陰で日々の仕事に向き合う警察官たちの「平場の物語」が、それぞれの章で丁寧に描かれていきます。
新潮文庫版で入手しやすく、横山短編の世界をもっと広げたい読者に向く一冊です。
13位:『看守眼』(横山秀夫)
『看守眼』は、横山秀夫の警察関連短編集で、人事課・刑務官・地方記者など、組織のなかの脇役にスポットを当てた7篇が収められています。
D県警やF県警の事件譚とは少し異なる角度から、組織人の悲哀と矜持を描く短編集として、ファンの間で評価の高い一冊です。
1編あたりが短いため、長編の合間に手に取りやすく、横山短編の幅を体感したい方に向きます。
新潮文庫から刊行されており、書店でも入手しやすい一冊です。
14位:『影踏み』(横山秀夫)
『影踏み』は、「ノビ師」と呼ばれる泥棒・真壁修一を主人公にした連作短編集で、警察小説ではない異色の横山作品です。
「消息」「刻印」「抱擁」「業火」「使徒」「遺言」「行方」の7篇で、双子の弟と引き離された真壁の人生が少しずつ明かされていきます。
犯罪者を主人公に据えながら、家族・記憶・贖罪というテーマを丁寧に描く構成で、ミステリと文学のあいだに位置する読み心地です。
山崎まさよし主演で映画化されており、原作の方が短編構成の魅力をじっくり味わえます。
15位:『真相』(横山秀夫)
『真相』は、5篇の短編で構成される横山秀夫の異色の短編集です。
警察小説ではなく、それぞれの登場人物が抱えた「真相」を、家族・友人・恋人といった私的な関係のなかで明らかにしていく構成です。
重く、暗い読後感が残る短編が並びますが、人が他者の真意をどこまで読み取れるかという問いが、横山らしい筆致で深掘りされます。
派手な事件を求めて読むと拍子抜けする一冊ですが、人間ドラマとして読むと忘れがたい余韻が残る短編集です。
16位:『出口のない海』(横山秀夫)
『出口のない海』は、太平洋戦争末期の特攻兵器「回天」を題材にした、横山秀夫の戦時人間ドラマです。
野球部のエースだった青年・並木浩二が、人間魚雷「回天」の搭乗員として基地で過ごす日々と、家族・恋人との断絶が描かれます。
派手な戦争小説ではなく、自らの死を目の前にした若者たちの「生きるとは何か」という問いが、静かに積み上がっていく構成です。
市川海老蔵主演で映画化されており、原作の方が登場人物の心情がより丁寧に描かれています。
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まとめ


| ランキング | 書名 | 著者 | ジャンル | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 『64(ロクヨン)』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 2位 | 『クライマーズ・ハイ』 | 横山秀夫 | 社会派・異色作 | |
| 3位 | 『半落ち』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 4位 | 『第三の時効』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 5位 | 『臨場』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 6位 | 『陰の季節』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 7位 | 『動機』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 8位 | 『ノースライト』 | 横山秀夫 | 社会派・異色作 | |
| 9位 | 『震度0』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 10位 | 『ルパンの消息』 | 横山秀夫 | 社会派・異色作 | |
| 11位 | 『顔 FACE』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 12位 | 『深追い』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 13位 | 『看守眼』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 14位 | 『影踏み』 | 横山秀夫 | 社会派・異色作 | |
| 15位 | 『真相』 | 横山秀夫 | 警察小説 | |
| 16位 | 『出口のない海』 | 横山秀夫 | 社会派・異色作 |
迷ったら1位から読み、関心が広がったら表から次の横山秀夫の本を選んでください。





















