こんばんは、「深夜2時の読書論」管理人のトバリです。
「ギリシャ哲学を学んでみたいけれど、難しそうで挫折しそう……」
「ソクラテスやプラトンの名前は知っているけれど、どれから読めばいいかわからない」
このように感じて、最初の一歩を踏み出せずにいませんか?
実は、ギリシャ哲学は「知識」として学ぶだけでなく、現代を生きる私たちが抱える「将来への不安」や「人間関係の悩み」を解消する、強力なツールになります。
なぜなら、2500年前の哲学者たちも、私たちと同じように「どうすれば幸福に生きられるか」を命懸けで考えていたからです。
しかし、いきなり難解な専門書を選んでしまうと、書いてあることが理解できずに「やっぱり哲学は無理だ」と諦めてしまうことになりかねません。
そこでこの記事では、ギリシャ哲学に初めて触れる方でも絶対に挫折しないおすすめの本を、以下の4つのレベル・目的に分けてご紹介します。
- 超入門: 漫画や図解などで雰囲気を掴む
- 歴史・通史: 哲学の流れを体系的に学ぶ
- 人生論: 不安や迷いを消す(ストア派など)
- 原典と解説書: ソクラテスやプラトンの肉声に触れる
あなたの「知りたい欲求」や「解決したい悩み」にぴったりの一冊が必ず見つかります。
とばり古代の叡智を味方につけて、揺らがない知性と視点を手に入れましょう。
最初に、この記事の結論をまとめておくと下記です。
◾️この記事の結論:ギリシャ哲学のおすすめ本と選び方
ギリシャ哲学を学ぶためのおすすめ本は、初心者の場合「漫画・図解」から入り、「通史」で全体像を掴んだ後、「原典」へ進むのが挫折しない鉄則です。現代の悩みに効く「人生論」も人気があります。
◾️【レベル・目的別】最初に読むべき代表的な4冊
- 超入門:『マンガで読む名作 ソクラテスの弁明』(まずはストーリーで掴む)
- 歴史・通史:『ギリシア哲学入門』(岩田靖夫 / 哲学の流れを体系的に学ぶ)
- 人生論:『自省録』(マルクス・アウレリウス / 不安や悩みを解消する)
- 原典:『ソクラテスの弁明』(プラトン / 哲学者の肉声に触れる)
本記事では、これらを含む厳選した21冊を、読むべき順番(ロードマップ)とともに詳しく解説します。
おすすめの哲学本37選は下記記事で詳しくまとめました。中高生から大人まで、楽しめる哲学ロードマップになっているので、気になる方は読んでみてください。


【失敗しない】ギリシャ哲学の本の選び方


「よし、哲学を学ぼう!」と意気込んで書店に行き、分厚い古典を買ってはみたものの、最初の数ページで挫折してしまった……。
これは、多くの人が経験する「あるある」ではないでしょうか。
哲学書選びで最も大切なのは、自分のレベルと目的に合った本を選ぶことです。ここでは、初心者が挫折せずに読み進めるための3つのポイントをご紹介します。
まずは「漫画」か「入門書」から入るのが鉄則
断言しますが、哲学に初めて触れる方がいきなり「原典(哲学者本人が書いた本)」に挑むのはおすすめしません。
なぜなら、古典的な哲学書は現代とは異なる時代背景や専門用語を前提に書かれていることが多く、予備知識なしで読み解くのは非常に困難だからです。
まるで、地図を持たずにジャングルに分け入るようなものです。まずは、漫画や図解の多い入門書を手にとってみてください。
「ソクラテスってこんな顔をして、こんな性格だったんだ」 「プラトンとアリストテレスは師弟関係だったのか」 といったイメージや人間関係をつかむだけで、その後の理解度が劇的に変わります。
「漫画で学ぶなんて邪道だ」と考える必要は全くありません。
まずは全体像をざっくりつかむことが、挫折しないための最大の秘訣です。
「歴史」で全体像をつかむか、「テーマ」で選ぶか
入門書を選ぶ際、大きく分けて2つのアプローチがあります。
- 歴史(通史)から入る:
「万物の根源は水である」と言ったタレスから始まり、ソクラテス、プラトン……と、哲学の歴史を時系列順に追っていくスタイルです。教養として体系的に学びたい方に適しています。 - テーマ(人生論)から入る:
「幸福とは何か?」「死とは何か?」といった、特定のテーマについて書かれた本を選ぶスタイルです。具体的な悩みがあり、すぐに役立つヒントが欲しい方はこちらがおすすめです。
自分の目的が「知識を増やしたい」のか、それとも「生き方の指針が欲しい」のかによって、選ぶべき本は変わってきます。
原典に挑むなら「対話篇」や「エッセイ形式」から
ある程度知識がつき、「そろそろ原典に挑戦してみたい」と思ったら、本の形式に注目してください。
哲学書には、論理を積み重ねて書かれた「論文調」のものと、物語や会話形式で書かれたものがあります。初心者におすすめなのは、圧倒的に後者です。
例えば、プラトンの著作の多くは「対話篇」と呼ばれ、ソクラテスと友人たちが議論する様子が戯曲のように描かれています。
また、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』は、自分自身に向けた短い「エッセイ」形式です。



これらは専門的な知識がなくても小説や随筆を読むような感覚で楽しめるため、原典デビューにはうってつけと言えるでしょう。
【Lv.1 超入門】ギリシャ哲学の雰囲気をつかめるおすすめ入門書3選
「文字ばかりの本は眠くなってしまう……」
「まずは全体像をざっくりと把握したい」
そんな方に自信を持っておすすめできるのが、イラストや漫画、ストーリーで構成された入門書です。
これらは決して「子ども向け」ではありません。難解な概念を直感的に理解させてくれる、大人にとっての最高のガイドブックです。
『面白いほどよくわかるギリシャ哲学(日本文芸社)』(小川 仁志)
「学校で教えない教科書」シリーズの一冊です。タイトルの通り、複雑なギリシャ哲学の思想が驚くほどスッと頭に入ってくる良書です。
この本最大の特徴は、豊富な図解とイラストです。
言葉だけではイメージしにくい「イデア」や「万物の根源」といった概念も、視覚的に整理されているため直感的に理解できます。
見開きで一つのテーマが完結する構成になっており、どこからでも気軽に読めるのも嬉しいポイント。



通勤・通学のスキマ時間で教養を身につけたい方や、哲学史の全体像をサクッと掴みたい方の最初の一冊として最適です。
『マンガで読む名作 ソクラテスの弁明(日本文芸社)』(プラトン・横井謙仁)
哲学の原点にして頂点とも言えるプラトンの名著『ソクラテスの弁明』を、忠実に漫画化した一冊です。
ソクラテスがなぜ裁判にかけられ、死刑判決を受けることになったのか。
そして、死を目前にしてなお、なぜ彼は自説を曲げなかったのか。緊迫した裁判の様子がドラマチックに描かれています。
活字で読むと少し難しく感じる言い回しも、漫画ならキャラクターの表情や状況とセットで入ってくるため、ソクラテスの「熱量」や「覚悟」がダイレクトに伝わってきます。



「哲学ってこんなに熱い人間ドラマだったんだ!」と、イメージが一変すること間違いなしです。
『ソフィーの世界』(ヨースタイン・ゴルデル)
世界中で大ベストセラーとなった、ノルウェー発のファンタジー小説です。
日本でも1990年代にブームを巻き起こしました。
ある日、14歳の少女ソフィーのもとに「あなたはだれ?」と書かれた不思議な手紙が届くところから物語は始まります。
ソフィーは謎の人物からの手紙を通じて、古代ギリシャから現代に至るまでの哲学の歴史を冒険するように学んでいきます。
単なる解説書ではなく、謎解きミステリーのようなワクワク感を持って読み進められるのが最大の魅力。



物語の世界に没頭しているうちに、いつの間にか哲学的な思考の旅をしている自分に気づくはずです。
【Lv.2 歴史・通史】ギリシャ哲学の流れを体系的に学ぶおすすめ本5選
「漫画や超入門書は卒業して、もう少し本格的に学びたい」
「哲学用語の意味や、哲学者同士のつながりをしっかり理解したい」
そんな知識欲あふれる方には、歴史の流れに沿って解説された「通史」や、信頼できる専門家による解説書がおすすめです。
ここでは、初心者から上級者まで満足できる、評価の高い5冊を厳選しました。
『ギリシア哲学入門(ちくま新書)』(岩田靖夫)
ギリシャ哲学の入門書として、長年読み継がれている定番中の定番です。
著者は、専門的な研究内容を一般読者に向けて情熱的に語りかけてくれます。
「いかに生きるべきか」という根源的な問いを軸に、ソクラテス、プラトン、アリストテレスの三大哲学者の思想を解説しており、単なる知識の羅列ではありません。
著者の熱量が文章から伝わってくるため、読んでいて心が熱くなるような読書体験ができるでしょう。



本格的な学習の第一歩として、まず手に取っていただきたい良書です。
『ギリシア哲学史(筑摩書房)』(納富信留)
こちらは「入門」の域を超え、一生モノの知識を身につけたい方向けの本格的な通史です。著者は現代日本を代表するギリシャ哲学研究者の納富信留氏。
700ページを超える大著ですが、その内容は圧倒的です。哲学の誕生からアリストテレスまでを網羅しており、最新の研究成果も反映されています。
初めから通読するのは少しハードルが高いかもしれませんが、気になった哲学者について調べる「辞書」として手元に置いておくのも賢い使い方です。
本棚にあるだけで背筋が伸びるような、知の結晶とも言える一冊です。
『哲学の謎(講談社現代新書)』(野矢茂樹)
日本を代表する哲学者の一人、野矢茂樹氏による解説書です。
本書の魅力は、著者が読者と一緒に悩み、考えながら進んでいくような語り口にあります。
「ソクラテスはこう言った」と一方的に教えるのではなく、「なぜそう考えたのか?」「それはおかしくないか?」と、哲学的な思考のプロセスそのものを追体験させてくれます。
古代ギリシャ哲学に限らず、哲学すること自体の面白さや、思考の深め方を学びたい方にぴったりです。
『ギリシア哲学者列伝(岩波文庫)』(ディオゲネス・ラエルティオス)
古代の哲学者たちがどのような人生を送り、どんな変人だったのか(笑)。
そんな人間味あふれるエピソードが満載の、貴重な資料です。
「ソクラテスは恐妻家だった」「タレスは星を見上げていて溝に落ちた」など、教科書的な解説書では省かれがちな逸話がこれでもかと詰め込まれています。
思想の内容よりも「人物」に興味がある方や、哲学者をより身近に感じたい方におすすめ。



古代のゴシップ誌を読むような感覚で楽しめる、ユニークな古典です。
『ギリシア哲学30講 人類の原初の思索から(明石書店)』(日下部吉信)
ソクラテス以前の「初期ギリシャ哲学」から丁寧に学びたい方には、この本が最適です。
タレスやヘラクレイトスといった、ソクラテスが登場する前の哲学者たちは「自然哲学」と呼ばれ、万物の根源(アルケー)について独創的な議論を展開しました。
本書は講義形式で書かれているため、語り口が柔らかく、難解な初期哲学もスムーズに理解できます。
哲学の「始まり」の瞬間を、臨場感を持って学びたい方の知的好奇心を満たしてくれるでしょう。
【Lv.3 人生論】不安や迷いを消す「ストア派・エピクロス派」4選
ここからは少し時代が下り、ギリシャ哲学の影響を強く受けた「古代ローマ」の哲学なども含めてご紹介します。
この時代の哲学の特徴は、非常に「実用的」であることです。
帝国の拡大や政情不安の中で生きた彼らは、「どうすれば心の平安を保てるか」「限りある人生をどう生きるべきか」を徹底的に追求しました。
現代社会のストレスや将来への不安に押しつぶされそうな時、彼らの言葉は強力な精神安定剤となるはずです。
『自省録(岩波文庫)』(マルクス・アウレリウス)
第16代ローマ皇帝であり、「哲人皇帝」と呼ばれたマルクス・アウレリウスが、戦陣の中で自分自身に向けて書き綴った日記です。
最高権力者でありながら、彼もまた人間関係や激務に悩み、孤独を感じていました。
「他人の言動にいちいち心を乱すな」「今日死ぬかのように生きよ」といった、自らを律する言葉の数々は、2000年の時を超えて現代人の心に深く刺さります。
誰かに読ませるために書かれたものではないからこそ、飾りのない本音が詰まっており、読むたびに背筋が伸びるような感覚を覚える一冊です。
『生の短さについて(岩波文庫)』(セネカ)
「人生は短い」と嘆くすべての人に読んでほしい、時間管理の古典的傑作です。
ストア派の哲学者セネカは言います。「人生が短いのではない。私たちが人生を浪費しているのだ」と。
他人の顔色をうかがったり、無益な享楽にふけったりして時間をドブに捨てている私たちに対し、セネカは辛辣かつ的確なアドバイスを投げかけます。
忙しい現代のビジネスパーソンこそ、この本を読んで「自分のための時間」を取り戻すべきでしょう。



ページ数は少ないですが、人生観をガラリと変える破壊力を持っています。
『エピクロス 教説と手紙(岩波文庫)』(エピクロス)
ストア派の「禁欲」と対比されることが多い、「快楽主義」のエピクロス派。
しかし、彼らの言う「快楽」とは、単に美味しいものを食べて遊ぶことではありません。
エピクロスが目指したのは、肉体的な苦痛がなく、心に不安がない状態(アタラクシア)です。質素な食事と、心許せる友人との語らいこそが最高の快楽であると説きました。
「もっとお金が欲しい」「もっと評価されたい」という終わりのない欲求から解放され、今ある幸せに目を向けたい方に、優しい安らぎを与えてくれる本です。
『ストア派哲学入門 ──成功者が魅了される思考術(パンローリング)』(ライアン・ホリデイ)
近年、シリコンバレーの起業家やトップアスリートの間で「ストア派哲学(ストイック)」が再評価されています。その火付け役とも言えるのが本書です。
「コントロールできることと、できないことを分ける」というストア派の核心を、現代的な視点でわかりやすく解説しています。ビジネスやスポーツの現場で、プレッシャーに負けず成果を出すためのメンタル術として、非常に実践的な内容になっています。
「古典を読むのはハードルが高いけれど、そのエッセンスを仕事や生活に活かしたい」という方には、最高の手引きとなるでしょう。


【Lv.4 原典】ソクラテス・プラトンの肉声に触れる名著と解説書9選
「入門書で概要はつかめた。いよいよ哲学者の生の言葉に触れてみたい」
そんな知的好奇心に燃えるあなたへ、ギリシャ哲学の真髄とも言える原典(と最高の解説書)をご紹介します。原典といっても、ここで紹介するのは比較的読みやすい「対話篇」などが中心です。
2500年前の哲学者たちが、何を悩み、どのように議論していたのか。その「知の格闘」の場に立ち会うような気持ちでページを開いてみてください。
『ソクラテスの弁明(光文社古典新訳文庫)』(プラトン)
西洋哲学のすべての始まりとも言える一冊です。不当な裁判で死刑を求刑されたソクラテスが、法廷で自らの信念を堂々と語る様子が描かれています。
「無知の知(自分が何も知らないということを自覚している)」や「魂への配慮(金や名誉よりも、魂を善くすることを大切にする)」といった、ソクラテス哲学の核心が、彼の肉声として語られます。
特に光文社古典新訳文庫版は、現代語に近い自然な訳で非常に読みやすいため、原典デビューに最適です。
『クリトン(岩波文庫)』(プラトン)
『ソクラテスの弁明』の続編にあたる物語です。死刑判決を受けたソクラテスのもとに、親友クリトンがやってきて脱獄を勧めます。しかし、ソクラテスはそれを拒否します。
「ただ生きるのではなく、善く生きることが大切だ」
たとえ悪法であっても、法の決定に従って死を受け入れることが、彼にとっての「正義」でした。感動的な友情と、哲学を貫く生き様が胸を打つ名篇です。『弁明』とセットで読むことを強くおすすめします。
『饗宴(光文社古典新訳文庫)』(プラトン)
タイトルの通り、哲学者や詩人たちが集まる「飲み会」での会話を記録した作品です。テーマはずばり「愛(エロース)」について。
「愛とは欠けた半身を求めることだ」といったロマンチックな神話から始まり、ソクラテスによる深遠な愛の定義へと議論は進んでいきます。現代の恋愛観にも通じる話題が多く、哲学議論の楽しさや面白さを最も身近に感じられる一冊でしょう。
『国家(岩波文庫)』(プラトン)
プラトン哲学の集大成とも言える巨大な著作です。
「正義とは何か」という問いから始まり、理想の国家運営、教育、芸術、そして人間の魂のあり方まで、広大なテーマを扱います。
有名な「洞窟の比喩(私たちは影絵を見ているに過ぎない)」もこの本に登場します。分量があり読み応え十分ですが、これを読み通した時、あなたの世界の見え方はガラリと変わっているはずです。
『プラトンの哲学(岩波新書)』(藤澤令夫)
原典を読む際の強力なサポーターとなる解説書です。著者は日本におけるプラトン研究の第一人者。
プラトンの著作は物語形式で面白い反面、肝心の「イデア論」などの思想体系を正確に掴むのが難しい側面があります。
本書は、プラトンが生涯をかけて何を伝えようとしたのかを、論理的に整理して教えてくれます。原典とあわせて読むことで、理解の解像度が数段上がります。
『増補 ソクラテス(ちくま学芸文庫)』(田中美知太郎)
ソクラテスという人物の実像に迫った、日本の哲学研究における金字塔的な名著です。
彼はなぜ哲学を始めたのか、なぜ死ななければならなかったのか。
著者の深い洞察によって、ソクラテスが単なる「過去の偉人」ではなく、血の通った一人の人間として立ち上がってきます。ソクラテスに魅了されたなら、ぜひ読んでおきたい一冊です。
『ニコマコス倫理学(光文社古典新訳文庫)』(アリストテレス)
「人間にとっての幸福とは何か?」を突き詰めた、倫理学の最高峰です。
アリストテレスは、幸福とは快楽ではなく「徳(卓越性)を発揮して活動すること」だと定義しました。
そして、極端を避ける「中庸(ちゅうよう)」の重要性を説きます。少し硬い文章ですが、より良く生きたいと願う現代人にとって、具体的で実践的な指針となるでしょう。
『政治学(光文社古典新訳文庫)』(アリストテレス)
「人間はポリス(国家)的動物である」という有名な言葉が登場する本です。
アリストテレスにとって、倫理(個人の幸福)と政治(国家の幸福)は切り離せないものでした。
良い国家とは何か、市民はどうあるべきかを論じており、民主主義のあり方が問われる現代において、再び必読の書となっています。
『アリストテレス入門(ちくま新書)』(山口義久)
「万学の祖」と呼ばれるアリストテレスの研究領域は、論理学、自然学、形而上学、倫理学と多岐にわたります。
その膨大な知識体系を、コンパクトに整理して理解できるのが本書です。
アリストテレスの原典は講義ノートが元になっているため、唐突で難解な部分も多いのですが、この入門書をガイドにすることで、彼の壮大な思考の全体像を迷わずに歩くことができます。
なぜ今、ギリシャ哲学なのか?「役立つ」3つの理由


「哲学なんて、昔の偉い人があーだこーだ言ってるだけでしょ?」
そう思う方もいるかもしれません。しかし、書店に行けばビジネス書コーナーに哲学書が平積みされ、YouTubeでも哲学解説動画が大人気です。
なぜ今、2500年以上も前の「ギリシャ哲学」がこれほど求められているのでしょうか。それは、単なる教養や知識自慢のためではありません。現代社会を生き抜くための「実用的な武器」になるからです。
ここでは、ギリシャ哲学を学ぶメリットを3つに絞って解説します。
①本質的思考が身につく
現代は、SNSやニュースサイトから毎秒のように新しい情報が流れてくる時代です。私たちはつい、表面的なノウハウや「正解っぽい情報」に飛びついてしまいがちではないでしょうか。
ギリシャ哲学の始祖であるソクラテスは、街ゆく人々に「正義とは何か?」「勇気とは何か?」と問い続けました。これは、物ごとの「根っこ」を問い直す行為です。
「なぜ、それをやるのか?」「そもそも、それはどういう意味なのか?」
こうした問いを立てる習慣は、ビジネスにおける課題解決や、情報の真偽を見極める際に強力な力となります。



AIが答えを出してくれる時代だからこそ、適切な「問い」を立てる本質的思考の価値が高まっているのです。
②現代の悩みへの処方箋になる
驚くべきことに、古代ギリシャの人々も現代の私たちと同じような悩みを抱えていました。
- 他人からの評価が気になって仕方がない
- 将来のことが不安で夜も眠れない
- 理不尽な上司や政治に腹が立つ
彼らはこうした悩みに対し、徹底的な思索を通じて「心の平穏を保つための技術」を編み出しました。
例えば、ストア派の哲学は「自分にコントロールできることと、できないことを分ける」という思考法を提示し、現代の認知行動療法のベースにもなっています。
古典を読むことは、数千年の風雪に耐えて残った「人生の悩みに対する最強の処方箋」を受け取ることと同じなのです。
③他の学問も理解しやすくなる
ギリシャ哲学は、西洋文明における「知のOS」のような存在です。
現代の政治、法律、科学、倫理、芸術といったあらゆる分野のルーツは、古代ギリシャにあります。
例えば、「原子(アトム)」という概念や「民主主義(デモクラシー)」というシステムも、この時代に原型が生まれました。
そのため、ギリシャ哲学の基本を押さえておくと、心理学や経済学、あるいは現代思想といった他の本を読んだときに、「あ、これはプラトンの考え方がベースになっているな」と点と点がつながるようになります。
知的な体系が頭の中に出来上がるため、新しい知識を吸収するスピードが格段に上がるのです。
読む順番のおすすめルート・読書ロードマップ


ここまで21冊の書籍をご紹介してきましたが、「結局、どの順番で読むのが一番効率的なの?」と迷ってしまう方もいるかもしれません。
そこで、あなたの目的に合わせた2つのおすすめルートをご提案します。この順番で読み進めれば、途中で挫折することなく、知識や知恵を積み上げていけるはずです。
教養・知識重視ルート
「哲学の歴史や思想を体系的に学びたい」「ビジネスパーソンとしての教養を身につけたい」という方は、以下のステップがおすすめです。
- STEP 1:『面白いほどよくわかるギリシャ哲学』などの図解・漫画
まずは全体像と用語に慣れ親しみます。 - STEP 2:『ギリシア哲学入門』(岩田靖夫)
専門家による熱のこもった解説で、哲学の流れを深く理解します。 - STEP 3:『ソクラテスの弁明』(プラトン)
いよいよ原典へ。最も読みやすく、哲学の原点を感じられる一冊です。 - STEP 4:『饗宴』(プラトン)
対話篇の面白さを味わい、イデア論などの核心に迫ります。
人生の悩み解決ルート
「今の仕事や生き方にモヤモヤしている」「心の平穏を取り戻したい」という方は、以下のステップで進めてみてください。
- STEP 1:『マンガで読む名作 ソクラテスの弁明』
まずは物語として、信念を持って生きる姿勢に触れます。 - STEP 2:『自省録』 または 『生の短さについて』
自分の内面と向き合うための言葉を浴びます。今の気分に合う方を選んでください。 - STEP 3:『ストア派哲学入門』
気になった概念(コントロールできるもの・できないもの等)を、より実践的な思考術として定着させます。
まとめ:古代の哲学者との対話をはじめよう


今回は、ギリシャ哲学のおすすめ本をレベル別・目的別にご紹介しました。
哲学書を読むことは、単に知識を頭に詰め込む作業ではありません。それは、2500年前を生きた知の巨人たちと「対話」することです。
あなたが抱えている悩みや不安を、ソクラテスやマルクス・アウレリウスに打ち明けてみてください。彼らは時を超えて、あなたの心に深く響くアドバイスをくれるはずです。
まずは気になった一冊を手に取り、ページを開いてみてください。その小さな一歩が、あなたの景色をガラリと変えるきっかけになるかもしれません。
















