悩んでいる人ちくま学芸文庫って名著が多いって聞くけど、2000点以上もあるとどれから読めばいいのかわからない…。
哲学、歴史、社会科学、自然科学と、ジャンルが広すぎてどの棚から手に取ればいいのか見当がつかない。その気持ち、よくわかります。
この記事では、ちくま学芸文庫のおすすめ本22冊を4つの分野に分けて厳選しました。
本記事の内容は、下記のとおりです。
- ちくま学芸文庫の選び方ガイド(目的別フローチャート付き)
- 哲学・歴史・社会科学・芸術・自然科学の分野別おすすめ名著
- 難易度付きで初心者から上級者まで対応
- お得に読む方法(Audible・Kindle Unlimited)
この記事を読めば、あなたが読みたい本が絶対に見つかるはずです。
今回は岩波文庫・講談社学術文庫との違いもふまえながら、「入門書から古典の名著まで、段階的にステップアップできるラインナップ」を組みました。
ちくま学芸文庫の記事も増えてきたので、合わせて参考にしてみてください。


迷ったら下の診断を試してみてください。いくつかの質問に答えるだけで、あなたにぴったりの一冊が見つかります。
いくつかの質問に答えるだけで、あなたにぴったりの一冊が見つかります。
📚 ちくま学芸文庫おすすめ診断
Q1. あなたが読みたいのは?
Q2. どのくらいの難易度がいい?
Q3. 気になるテーマは?
Q2. 興味があるのは?
Q3. どんな切り口で?
あなたにおすすめの一冊は…
ちくま学芸文庫の選び方ガイド【目的・レベル別】


ちくま学芸文庫は、1992年に筑摩書房が創刊した学術系文庫レーベルです。
哲学、歴史、社会科学、自然科学、芸術、精神医学と、扱うジャンルが非常に幅広く、2000点をこえるラインナップが揃っています。
同じ学術系文庫でいえば、岩波文庫と講談社学術文庫が有名ですが、ちくま学芸文庫はそのちょうど中間に位置するイメージです。
岩波文庫が19世紀以前の古典に強いのに対し、ちくま学芸文庫は20世紀以降の現代的な学術書や思想書のラインナップが圧倒的に充実しています。
さらに2020年代には「Math & Science」というサブレーベルも登場し、数学や自然科学の名著も文庫で手に取れるようになりました。
本記事では22冊の名著を、難易度★1(入門)から★5(専門書)まで、0.5刻みで評価しています。
初心者の方は★2以下の本から始めると無理なくステップアップできます。
ちくま学芸文庫の哲学・思想おすすめ名著6選


ちくま学芸文庫が最も強いのが哲学・思想の分野です。
デカルトからキルケゴール、アーレント、鈴木健まで、古典哲学から現代の社会設計論まで幅広い名著が揃っています。
- ルネ・デカルト『方法序説』
- バートランド・ラッセル『哲学入門』
- キルケゴール『死にいたる病』
- イマヌエル・鈴木健『なめらかな社会とその敵』
- ハンナ・アーレント『革命について』
- 加藤周一『日本文学史序説』
ルネ・デカルト『方法序説』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2010年 | 169ページ | 初心者向け |
「我思う、ゆえに我あり」で知られる近代哲学の出発点。
デカルトがこの本で試みたのは、あらゆる知識を一度疑い尽くしたうえで、確実に知りうることだけを土台に学問を立て直すことでした。
わずか169ページの薄さですが、近代科学と近代哲学の双方の起点がここに凝縮されています。
ちくま学芸文庫版は山田弘明訳で、原文に忠実でありながら現代の読者にも通じる明快な日本語に仕上がっています。
哲学の古典に触れたことがない方が最初に手に取る一冊として、これ以上の本はなかなかありません。
哲学にはじめてふれるなら、まずはこの一冊から。薄くて読みやすいのに、思考のフレームが根本から変わる名著です。
デカルトの本をもっと知りたい方は、デカルトの本おすすめ13選もあわせてどうぞ。
バートランド・ラッセル『哲学入門』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2005年 | 261ページ | 入門〜初心者 |
ノーベル文学賞を受賞した20世紀最大の論理学者が書いた、これ以上ないほど明晰な哲学入門。
ラッセルは分析哲学の創始者のひとりであり、論理学、数学基礎論、認識論と多方面に業績を残した巨人です。
この本では「物質は本当に存在するのか」「心と物体の関係はどうなっているのか」といった根本的な疑問に、平易な言葉でまっすぐ切りこんでいきます。
原題は “The Problems of Philosophy” で、1912年の著作です。
100年以上前に書かれたとは思えないほど読みやすく、哲学が「何の役に立つのか」を論じた最終章は、一度読んだら忘れられません。
「哲学って結局なんの意味があるの?」と思ったことがある方にこそ読んでほしい一冊です。
キルケゴール『死にいたる病』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1996年 | 305ページ | 上級者向け |
実存主義哲学の原点ともいえるキルケゴールの代表作。
タイトルにある「死にいたる病」とは絶望のことです。キルケゴールはこの本で、絶望の構造を徹底的に分析します。
自分が絶望していることに気づいていない状態こそが最も深い絶望であるという逆説的な議論は、ハイデガーやサルトルなど後の思想家に甚大な影響を与えました。
ちくま学芸文庫版は桝田啓介訳で、豊富な訳注が付いているのが最大の特長です。
最初の数ページは異常に難解ですが、そこを過ぎると格段に読みやすくなります。わからない箇所はスルーして先に進んでください。
「自分は何者なのか」という問いが頭を離れないとき、この本が答えではなく、問いそのものの深さを見せてくれます。
キルケゴールの著作をもっと知りたい方は、キルケゴールのおすすめ本11選もあわせてどうぞ。
鈴木健『なめらかな社会とその敵』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2022年 | 391ページ | 中・上級者向け |
貨幣・投票・契約を再設計し、「境界のない社会」を構想した知的冒険の書。
鈴木健が提案するのは、PICSY(伝播投資貨幣)、分人民主主義、構成的社会契約論という3つの仕組みです。
現代社会の制度は「0か1か」の二項対立で設計されていますが、人間の関係はもっと「なめらか」なグラデーションでできているという着想が出発点になっています。
情報科学・経済学・政治哲学を横断する議論は刺激的で、AIやブロックチェーンの時代にこそ読む価値のある一冊です。
社会制度を「再発明」するという壮大な試みに、知的興奮が止まらなくなる本です。
ハンナ・アーレント『革命について』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1995年 | 461ページ | 中・上級者向け |
フランス革命とアメリカ革命を比較し、政治的自由の本質に迫った政治哲学の名著。
アーレントの問いはシンプルです。なぜフランス革命はテロルに陥り、アメリカ革命は共和国を樹立できたのか。
貧困の解決という「社会問題」に政治が巻きこまれたフランスに対して、アメリカは「公的自由」の創設に集中できたという分析は、現代の政治を考えるうえでもきわめて示唆に富んでいます。
アーレントの文章はどの著作も読みごたえがありますが、この本は『全体主義の起原』よりもコンパクトで、一つのテーマに集中して読めるのが利点です。
政治哲学に関心がある方にとって、避けては通れない一冊でしょう。
「自由とは何か」を感情論ではなく構造で考えたいときに、最初に手に取ってほしい本です。
アーレントの著作をもっと知りたい方は、ハンナ・アーレントの本おすすめ13選もあわせてどうぞ。
加藤周一『日本文学史序説』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1980年 | 512ページ | 中級者向け |
日本研究のバイブルとして海外6カ国語に翻訳された加藤周一の代表作。
この本の「文学」は、小説や詩歌にとどまりません。
空海の密教思想、道元の禅哲学、本居宣長の国学、西田幾多郎の哲学までもが「文学」として扱われています。
つまり加藤周一が描いたのは、日本語で書かれたすべての知的営みの歴史です。
通読すると、万葉集から現代文学までの巨大な流れが一本の線でつながって見えてきます。
読書好きにとっては、次に何を読むべきかの手がかりが山のように見つかるブックガイドとしても機能します。
日本の思想と文化を一望できる、ちくま学芸文庫のなかでも特別な存在感を放つ名著です。
加藤周一の著作については、加藤周一のおすすめ本13選で詳しく紹介しています。
ちくま学芸文庫の歴史・社会科学おすすめ名著7選


ちくま学芸文庫には、歴史や社会科学の定番がずらりと並んでいます。
日本史を覆す名著から、世界経済の構造を解き明かす古典、さらには東洋の古典まで、学問の幅広さを実感できるラインナップです。
- 網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』
- 川北稔『世界システム論講義』
- ゴッフマン『日常生活における自己呈示』
- モース『贈与論』
- ポランニー『経済の文明史』
- 呉兢『貞観政要』
- 司馬遷『史記(全8巻)』
網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2005年 | 466ページ | 初心者向け |
「百姓=農民」という常識を根底から覆した、日本史の革命的名著。
網野善彦は中世日本の文書を丹念に読み解き、百姓の多くが漁師や商人や職人だったことを実証しました。
教科書で習った「農耕民族の国ニッポン」というイメージが、読み終わるころには完全に書き換わっています。
文体はやさしく、専門知識がなくても読めるのがこの本の大きな魅力です。
日本史に少しでも興味がある方なら、最初の一冊に選んで間違いありません。
日本史の「常識」が次々とひっくり返る快感を味わえます。歴史好きでなくても引きこまれる名著です。
日本史の入門書をもっと知りたい方は、日本史の本おすすめ10選もあわせてどうぞ。
川北稔『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2016年 | 211ページ | 初〜中級者向け |
ウォーラーステインの世界システム理論を、日本語で最もわかりやすく解説した入門書。
なぜイギリスが産業革命を起こせたのか。なぜアフリカやラテンアメリカは「周辺」に置かれたのか。
個別の国の歴史ではなく、世界全体をひとつのシステムとして捉える視点が身につきます。
211ページと薄く、講義をもとにした語り口で読みやすいので、世界史の見方を一段階引き上げたい方に最適です。
世界史を「国ごと」ではなく「構造」で眺めたいときに、まず手に取るべき一冊です。
世界史の入門書については、世界史の本おすすめ10選もあわせてどうぞ。
ゴッフマン『日常生活における自己呈示』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1974年 | 354ページ | 中級者向け |
人間の社会生活を「演劇」のメタファーで分析した、社会学の古典的名著。
ゴッフマンの着眼点はユニークです。僕たちは日常生活のなかで、まるで役者のように「表舞台」と「舞台裏」を使い分けている。
上司の前での自分と友人の前での自分が違うのは、嘘をついているのではなく、社会的な演技のルールに従っているからだという分析は、SNS時代の自己呈示を考えるうえでも驚くほど示唆的です。
原著は1959年刊行ですが、読むたびに新しい発見があります。
「なぜ人は場面によって振る舞いを変えるのか」という素朴な疑問を、学問の力で鮮やかに解き明かしてくれます。
社会学の入門書については、社会学入門の本おすすめ10選もあわせてどうぞ。
マルセル・モース『贈与論』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2009年 | 279ページ | 中級者向け |
「なぜ贈り物にはお返しをしなければならないのか」を学問的に解明した人類学の金字塔。
モースは北米先住民のポトラッチやメラネシアのクラ交換を分析し、贈与が単なる善意ではなく社会的な義務のシステムであることを示しました。
贈与には「与える義務」「受け取る義務」「お返しする義務」の三つが組み込まれており、この構造が社会の絆そのものを形成しているというのがモースの核心的な主張です。
レヴィ=ストロースをはじめ、後世の人文科学に計り知れない影響を与えた一冊です。
お中元やお歳暮、結婚祝いのお返し。日常の「贈り物」の背後にある構造が見えてくる、知的興奮に満ちた古典です。
カール・ポランニー『経済の文明史』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2003年 | 441ページ | 中級者向け |
「市場経済は人類にとって普遍的なものではない」と論じた経済人類学の名著。
ポランニーの主張の核心は、市場による価格メカニズムが経済を動かすのは近代以降の特殊現象であり、人類の大半の歴史では「互酬」と「再分配」が経済の原理だったという点にあります。
いまの経済の仕組みを当たり前だと感じている人ほど、この本を読むと世界の見え方が一変するはずです。
本書はポランニーの論文集であり、各章が独立しているので、気になるテーマから読み始められます。
資本主義を「自然な仕組み」だと思いこんでいた前提が揺さぶられる、社会科学の必読書です。
呉兢『貞観政要』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2015年 | 374ページ | 初心者向け |
唐の太宗・李世民の政治問答を記録した、1400年読みつがれるリーダーの教科書。
「貞観の治」と呼ばれる中国史上屈指の善政を実現した太宗が、臣下たちと交わした議論がそのまま残っている点にこの本の価値があります。
「諫言を受け入れること」「民を根本とすること」「慢心を戒めること」など、語られている原則は驚くほど普遍的です。
ちくま学芸文庫版は現代語訳が読みやすく、漢文の知識がなくてもスムーズに読み進められます。
マネジメントやリーダーシップに関心がある方にとって、時代をこえた知恵の宝庫です。
司馬遷『史記(全8巻)』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1995年 | 480ページ | 初〜中級者向け |
中国歴史文学の最高峰にして、東洋の歴史書のすべてはここから始まった。
司馬遷が記したのは、神話時代の黄帝から前漢の武帝までの約2000年間です。
「項羽と劉邦」「管鮑の交わり」「臥薪嘗胆」など、現代の日本語にもなっている数々の故事成語はこの本が原典です。
全8巻と聞くとひるみますが、ちくま学芸文庫版は読みやすい現代語訳なので、好きな巻から手に取れます。
まずは人物列伝をまとめた「列伝」から入るのがおすすめです。
人間ドラマの厚みが圧倒的で、歴史書というよりも壮大な群像劇として読めます。
ちくま学芸文庫の芸術・文学・精神医学おすすめ名著5選


ちくま学芸文庫には、美術・文芸批評・精神医学のジャンルにも見逃せない名著が揃っています。
日本美術の再発見から、ドストエフスキー論の最高峰、精神科医ならではの人間洞察まで、知的好奇心を刺激する5冊です。
- 辻惟雄『奇想の系譜』
- 若桑みどり『絵画を読む イコノロジー入門』
- バフチン『ドストエフスキーの詩学』
- 中井久夫『世に棲む患者』
- 木村敏『分裂病と他者』
辻惟雄『奇想の系譜』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2004年 | 288ページ | 入門〜初心者 |
岩佐又兵衛、曾我蕭白、伊藤若冲ら江戸絵画の「異端児」を再発見した芸術名著。
辻惟雄が1970年に発表したこの本は、日本美術史の見方を根本から変えました。
それまで美術史の主流から外れていた画家たちの、奇抜で大胆、ときに狂気を感じさせる作品群が鮮やかに紹介されています。
伊藤若冲が近年ブームになったのも、この本の影響が大きいと言われます。
美術の予備知識がなくても楽しめるので、ちくま学芸文庫の入門として最適な一冊です。
美術館に行く前に読むと、展示の見え方がまるで変わります。日本美術の「もうひとつの教科書」です。
若桑みどり『絵画を読む イコノロジー入門』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1993年 | 189ページ | 初心者向け |
西洋絵画の「隠された意味」を読み解く技法を教えてくれるロングセラー入門書。
イコノロジーとは、絵画に描かれた図像の象徴的な意味を読み解く学問です。
たとえばボッティチェリの「春」に描かれた花の種類や人物の配置には、当時の人々にとって明確な意味がありました。
美術鑑賞が「きれいだな」から「なるほど、そういうことか」に変わる瞬間は、読書ならではの醍醐味です。
189ページと薄く気軽に読めるので、美術好きの方はもちろん、西洋文化に興味がある方にもおすすめできます。
美術館でキャプションだけでは見えない「絵の奥」に手が届くようになる、目からウロコの一冊です。
美学や芸術の入門書については、美学のおすすめ本13選もあわせてどうぞ。
ミハイル・バフチン『ドストエフスキーの詩学』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1995年 | 602ページ | 上級者向け |
「ポリフォニー小説」という概念でドストエフスキーを読み解いた、文芸批評の金字塔。
バフチンの主張は明快です。ドストエフスキーの小説では、作者の声が登場人物の声を支配するのではなく、それぞれの登場人物が独立した意識として対等に発言している。
この「ポリフォニー(多声性)」という発見は、小説の読み方そのものを根本から変えてしまう力を持っています。
602ページと厚みがありますが、ドストエフスキー作品を読んだことがある方なら、具体例に即した議論なので意外と読み進められます。
『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を読んだあとに手に取ると、作品の奥行きが何倍にも広がります。
ドストエフスキーの著作については、ドストエフスキーのおすすめ本12選で詳しく紹介しています。
中井久夫『世に棲む患者』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2011年 | 338ページ | 初〜中級者向け |
精神科医・中井久夫が、「患者と世界の関わり」を繊細な筆致で綴った名エッセイ集。
中井久夫の文章は精神医学の枠をこえています。
統合失調症の患者がどのように世界を感じ、社会のなかでどう生きているのか。その姿を、診断ではなく「ひとりの人間」として描くまなざしがこの本の最大の魅力です。
専門用語は少なく、一般の読者でも十分に読めます。
人間を理解するとはどういうことか、静かに問いかけてくる一冊です。
精神医学に興味がなくても、人間の「弱さ」や「生きにくさ」に関心がある方に読んでほしい名著です。
木村敏『分裂病と他者』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2007年 | 427ページ | 中・上級者向け |
ハイデガーと西田哲学を精神医学に応用した、現象学的精神医学の代表作。
木村敏は、統合失調症を単なる脳の疾患としてではなく、「自己と他者の関係のあり方」の問題として捉えました。
「あいだ」という独自の概念を用いて、人間が他者と出会うときに生じる根本的なズレを論じています。
哲学と精神医学が交差するこの領域は、人間の「自己」とは何かを考えるうえで避けては通れないテーマです。
中井久夫とは異なるアプローチで精神の深層に迫る、もうひとつの名著といえるでしょう。
哲学と精神医学の両方に関心がある方にとって、この二つの領域がつながる瞬間を体験できる一冊です。
ちくま学芸文庫の自然科学・数学おすすめ名著4選


ちくま学芸文庫は「Math & Science」サブレーベルの登場もあり、自然科学や数学の名著もカバーしています。
科学史から純粋数学、進化生物学、軍事心理学まで、文系・理系の壁をこえた4冊を選びました。
- 野家啓一『科学哲学への招待』
- 高木貞治『初等整数論』
- グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』
- マット・リドレー『徳の起源』
野家啓一『科学哲学への招待』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2015年 | 278ページ | 初心者向け |
アリストテレスからクーンまで、科学の「何が正しいか」をめぐる2500年の知的冒険。
科学哲学と聞くと堅苦しそうですが、この本は科学史のエピソードを軸に進むので、物語のように読めます。
天動説から地動説への転換、ニュートン力学の衝撃、量子力学が突きつけた哲学的問題。科学的な「真理」がどうやって更新されてきたのかを追体験できます。
理系の方はもちろん、文系の方が科学の考え方に触れる入門書としても最適です。
「科学って本当に正しいの?」という素朴な疑問から始められる、知的好奇心を刺激する一冊です。
科学哲学に興味がある方は、科学哲学のおすすめ本12選もあわせてどうぞ。
高木貞治『初等整数論』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 1971年 | 416ページ | 上級者向け |
日本数学界の巨人・高木貞治が書いた、整数論の古典的教科書。
高木貞治は類体論の創始者として世界的に知られる数学者です。
この本では素因数分解の一意性から二次剰余の相互法則まで、整数論の基礎を極めて丁寧に、しかし一切の妥協なく展開しています。
数学科の学生にとっては定番中の定番ですが、数学好きの社会人が整数の美しさに触れる本としてもおすすめです。
数学の「美しさ」を実感したい方に。証明の行間を埋めていく快感は、この本ならではの体験です。
デーヴ・グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2004年 | 509ページ | 初心者向け |
「兵士の大半は敵を撃てない」という衝撃の事実から始まる、軍事心理学の名著。
著者のグロスマンは元米軍中佐であり、ウェストポイント陸軍士官学校の教官を務めた人物です。
第二次世界大戦で前線の兵士のうち実際に発砲したのはわずか15〜20%だったという研究データをもとに、人間が同類を殺すことにどれほどの心理的抵抗を持っているかを明らかにしています。
509ページと厚いですが文章は平易で、予備知識なしで読めます。戦争論や人間の暴力性について考えるうえでの必読書です。
人間の本性について、感情論ではなくデータと実証で考えたい方に強くおすすめします。
マット・リドレー『徳の起源』(ちくま学芸文庫)
| 発行年 | ページ数 | 本の難易度 |
|---|---|---|
| 2015年 | 464ページ | 初心者向け |
「なぜ人間は利他的になれるのか」を進化論で解き明かした、科学ノンフィクションの傑作。
リドレーは、ドーキンスの「利己的な遺伝子」では説明しきれない人間の協力行動に焦点を当てます。
ゲーム理論、進化心理学、神経科学の知見を総動員しながら、人間の「善さ」が生存戦略として進化してきた過程を論じています。
科学書でありながら物語のような読みやすさがあり、理系・文系を問わず楽しめる一冊です。
「性善説vs性悪説」の不毛な議論を、科学の視点から一段上のステージに引き上げてくれる名著です。
ちくま学芸文庫のおすすめ本についてのよくある質問


ちくま学芸文庫のおすすめ本についてのよくある質問にお答えします。
ちくま学芸文庫と岩波文庫の違いは何ですか?
岩波文庫は19世紀以前の古典が中心で、ちくま学芸文庫は20世紀以降の現代的な学術書が充実しています。
また岩波文庫は原典そのものが多いのに対し、ちくま学芸文庫は入門書や概説書のラインナップも豊富です。価格帯はちくま学芸文庫のほうがやや高めですが、注釈や解説が丁寧な翻訳が多いのが特長です。
ちくま学芸文庫の本は初心者でも読めますか?
本記事で紹介した22冊のうち、約半数は難易度★2以下の初心者向けです。
たとえば『方法序説』は169ページ、『奇想の系譜』は美術の予備知識なしで読める入門書です。まずは難易度の低い本から始めて、徐々にステップアップするのがおすすめです。
ちくま学芸文庫で最初に読むべき1冊はどれですか?
迷ったらラッセルの『哲学入門』がおすすめです。
ノーベル文学賞を受賞した論理学者が「哲学は何の役に立つのか」まで論じてくれる、これ以上ない入門書です。哲学以外に興味がある方は、網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』や辻惟雄『奇想の系譜』もおすすめです。
ちくま学芸文庫はKindleで読めますか?
多くのタイトルがKindle版で配信されています。
ただしKindle Unlimitedの対象になっているタイトルは限られます。Kindle版の有無は各書籍のAmazonページで確認してください。紙の文庫版にこだわりがある方は、書店やAmazonでの購入がおすすめです。
本をお得に効率よくインプットするコツ2選
本をお得に効率よくインプットするコツ2選をご紹介します。
12万冊が耳で聴けるAudibleプレミアム


Amazonの聴く読書サービス「Audible」では、ちくま学芸文庫の一部タイトルがオーディオブックとして配信されています。
通勤や家事の時間を使って「耳で読書」できるのが最大のメリットです。月額1,500円で12万冊以上が聴き放題になります。
30日間の無料体験があるので、まずは気になる一冊を試してみてください。
\ 500万冊の電子書籍が読み放題 /
※クリックすると公式サイトに飛びます
500万冊が読み放題のKindle Unlimited


Kindle Unlimitedは月額980円で200万冊以上が読み放題になるサービスです。
ちくま学芸文庫のタイトルも一部対象になっています。文庫1冊の価格が1,000円前後であることを考えると、月に1冊読めば元が取れます。
30日間の無料体験があるので、対象タイトルを確認してからの登録がおすすめです。
\ 12万冊以上の本を耳から聴ける! /
※クリックすると公式サイトに飛びます
まとめ


今回は、ちくま学芸文庫のおすすめ本22冊を分野別に紹介しました。
最後に、迷ったときのための早見表を置いておきます。
| 分野 | 書名 | 難易度 |
|---|---|---|
| 哲学 | 方法序説 | |
| 哲学 | 哲学入門 | |
| 哲学 | 死にいたる病 | |
| 哲学 | なめらかな社会とその敵 | |
| 哲学 | 革命について | |
| 哲学 | 日本文学史序説 | |
| 歴史 | 日本の歴史をよみなおす | |
| 歴史 | 世界システム論講義 | |
| 社会 | 日常生活における自己呈示 | |
| 社会 | 贈与論 | |
| 社会 | 経済の文明史 | |
| 東洋 | 貞観政要 | |
| 東洋 | 史記 | |
| 芸術 | 奇想の系譜 | |
| 芸術 | 絵画を読む | |
| 文学 | ドストエフスキーの詩学 | |
| 医学 | 世に棲む患者 | |
| 医学 | 分裂病と他者 | |
| 科学 | 科学哲学への招待 | |
| 数学 | 初等整数論 | |
| 科学 | 戦争における「人殺し」の心理学 | |
| 科学 | 徳の起源 |
初心者の方は難易度★2以下の本から始めてみてください。
ちくま学芸文庫は、知的好奇心を持つすべての人に開かれたレーベルです。
1冊でも「これだ」と思える本が見つかれば、そこから読書の世界が一気に広がっていくはずです。
気になった本があれば、ぜひ手に取ってみてください。























