悩んでいる人ジジェクの本が気になるけど、難しそうで何から読めばいいかわからない…。映画の話をしてるかと思えば急にラカンやヘーゲルが出てくるし、結局どの本が入門に向いてるの?
ジジェクの著作は翻訳だけで20冊以上あり、しかもジャンルが哲学・精神分析・政治・映画批評と多岐にわたります。
選ぶ順番を間違えると、最初の数ページで挫折しかねない。その不安、よくわかります。
この記事では、ジジェクのおすすめ本を入門書から代表作まで13冊厳選しました。
本記事の内容は、下記のとおりです。
- ジジェクのおすすめ入門書5選:新書や文庫もあり、初めてでも読みやすい
- 思想を深める代表作5選:主著からジジェク自身が最高傑作と呼ぶ一冊まで
- もっと楽しむための3冊:共著や自伝的対話など別角度のラインナップ
- ジジェクを理解するための3つのキーワード:読書に役立つ概念を解説
この記事を読めば、あなたが読みたい本が絶対に見つかるはずです。
今回は「難易度」を軸に、予備知識なしでもたのしめる入門書から、ラカン・ヘーゲルを本格的に読みこむ代表作まで段階的に配置しています。
ラカンの思想についてもっと知りたい方は、ラカンのおすすめ本13冊を難易度別に紹介もあわせてご覧ください。
本を無料で読む方法を知っていますか?
今回紹介する本には、オーディブルやKindle Unlimitedで無料で楽しめるものもあります。
2つの違いは、
- オーディブル:家事や移動中に本を聴きたい人向け
- Kindle Unlimited:スマホやタブレットで本を読みたい人向け
このような感じ。
本1冊以下の料金で何万冊も読み放題、聴き放題になるので、使わないともったいないです。
本を聴きたい方はオーディブルをどうぞ
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本を読みたい方はKindle Unlimitedをどうぞ
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kindleアプリをダウンロードすれば、スマホやタブレットでも使えます。2,000冊以上読んできた僕も、かなりお世話になりました。
ジジェクを学んだ後で哲学全体に視野を広げたい方は、超入門から名著まで5レベルで読む順番を示した哲学のおすすめ本30選もあわせてどうぞ。
1位:『ラカンはこう読め!』(スラヴォイ・ジジェク)
映画や日常の場面を入口に、ラカンの象徴界・想像界・現実界をつかめる入門書です。
ただし、教科書のように概念を並べていくスタイルではありません。
ジジェクは映画や日常の出来事を次々と引きあいに出しながら、「象徴界」「想像界」「現実界」というラカンの三幅対を浮かびあがらせていきます。
ラカンの原典へ進む前に、三界の関係を具体例から理解したい人に向きます。
2位:『斜めから見る: 大衆文化を通してラカン理論へ』(スラヴォイ・ジジェク)
ヒッチコックやフィルム・ノワールを読み解きながら、対象aと享楽の働きを学べます。
ジジェクはこうした大衆文化を素材にしながら、ラカンの「対象a」や「享楽」といった概念を鮮やかに解きほぐしていきます。
哲学書というよりも、映画評論を読んでいるような感覚で読みすすめられるのが特徴です。
映画批評の読みやすさと精神分析の奥行きを両方味わいたい人に合います。
3位:『ポストモダンの共産主義 はじめは悲劇として、二度めは笑劇として (ちくま新書 852)』(スラヴォイ・ジジェク)
9.11とリーマンショックを手がかりに、資本主義がイデオロギーを作り直す過程を問う新書です。
新書サイズでコンパクトにまとまっており、ジジェクの政治哲学に最短でふれることができます。
「リベラルな寛容」が実は抑圧を温存している、というジジェク的な逆説の切れ味をここで体験してみてください。
現代政治に現れる寛容と抑圧の矛盾を、ジジェクの逆説から考えたい人に向きます。
4位:『暴力 6つの斜めからの省察』(スラヴォイ・ジジェク)
目に見える暴力の背後に、経済や言語の構造が生む暴力を見つける本です。
ジジェクは「暴力を正面から見るな、斜めから見ろ」と読者に呼びかけます。
暴力について冷静に考えるためにこそ、直視をやめて構造に目を向けなければならない。
戦争やテロだけでなく、日常に埋め込まれた暴力の仕組みまで読みたい人に合います。
5位:『「進歩」を疑う なぜ私たちは発展しながら自滅へ向かうのか (NHK出版新書)』(スラヴォイ・ジジェク)
気候変動、核戦争、AIを結び、発展が破局へ向かう矛盾を短い新書で論じます。
人類は「進歩」しているはずなのに、なぜ破局へ一直線に突き進んでいるのか。
ジジェクの最新刊にして、NHK出版新書という手に取りやすい形で出たコンパクトな一冊です。
ジジェクの時事批評から入り、進歩と自滅が同時に進む理由を考えたい人向けです。
6位:『イデオロギーの崇高な対象』(スラヴォイ・ジジェク)
ラカンとマルクスを接続し、虚構と知りながら人がイデオロギーに従う理由を追う主著です。
ラカンの精神分析とマルクスのイデオロギー論を接続し、「人はなぜイデオロギーの虚構を知りながらそれに従うのか」という問いに切りこみます。
ヘーゲルの弁証法をラカン的に読みかえる手つきは、哲学史上でもきわめてユニークです。
入門書を読み終え、ジジェクのイデオロギー論を原理からたどりたい人に向きます。
7位:『パララックス・ヴュー』(スラヴォイ・ジジェク)
視差という「ずれ」を軸に、哲学・精神分析・政治の三領域を横断する大著です。
「パララックス(視差)」とは、同じ対象を別の視点から見たときに生じるズレのこと。
哲学・精神分析・政治の三領域を横断しながら、「ズレ」そのものの中に真理を見出す という野心的な試みが全6章にわたって展開されます。
一つの対象に並ぶ異なる視点を、統合せずに考え続けたい読者に合います。
8位:『否定的なもののもとへの滞留: カント、ヘーゲル、イデオロギー批判 (批評空間叢書 15)』(スラヴォイ・ジジェク)
カント、ヘーゲル、ラカンを結び、否定的なものの中に留まる思考を展開する初期の重要作です。
ヘーゲルの有名な一節「精神の生とは、死を前にしてたじろぐ生ではなく、否定的なもののうちに踏みとどまる生 である」に由来しています。
本書ではカント、ヘーゲル、そしてラカンの概念装置を駆使しながら、イデオロギー批判の新たな地平を切り拓いています。
ヘーゲル哲学のラカン的な読み替えを、体系立てて学びたい人に向きます。
9位:『快楽の転移』(スラヴォイ・ジジェク)
ヒッチコックやリンチの映画から、享楽が映像の上を移る様子を精神分析で読む本です。
ヒッチコック、デヴィッド・リンチ、チャップリンといった映画作家の作品を素材に、ラカンの「享楽」がスクリーンの上でどう転移していくかを精神分析的に読み解いていきます。
映画批評と精神分析理論が完全に融合した本書は、『斜めから見る』の発展形ともいえます。
『斜めから見る』の先で、映画批評と享楽の理論をより深く結びたい人に合います。
10位:『厄介なる主体1―政治的存在論の空虚な中心』(スラヴォイ・ジジェク)
バトラーとラクラウとの論争を通じ、ポストモダン思想が退けた主体の概念を再構築します。
デカルト的主体を擁護しつつ、ポストモダン思想が棄却した「主体」の概念をラカン的に再構築する という、きわめて挑戦的なプロジェクトが展開されます。
バトラーのジェンダー論やラクラウのヘゲモニー論との応酬は白熱しており、現代思想の最前線を体感できます。
主体、ジェンダー、ヘゲモニーの争点からジジェクの政治哲学を読みたい人向けです。
11位:『神話・狂気・哄笑 ドイツ観念論における主体性 (nyx叢書)』(マルクス・ガブリエル/スラヴォイ・ジジェク)
ガブリエルとジジェクが、シェリングとヘーゲルを異なる立場から読み直す共著です。
シェリング、ヘーゲルといったドイツ観念論の巨人たちの思想を、二人がそれぞれの立場から読み直していきます。
ジジェクのラカン的アプローチとガブリエルのドイツ観念論研究が交差するさまは、哲学的な対話として読みごたえがあります。
新実在論とラカン派の議論が、ドイツ観念論で交わる場所を読みたい人に向きます。
12位:『パンデミック 世界をゆるがした新型コロナウイルス (ele-king books)』(スラヴォイジジェク)
コロナ禍のただ中で、パンデミックと新しい連帯の可能性をラカン派の視点から論じた本です。
パンデミックをラカン派精神分析のレンズで読み解き、危機の中に潜む「新たな連帯」の可能性を問う という試みが展開されます。
208ページとコンパクトで、ジジェクの時事的な著作の中でもとくに読みやすい部類に入ります。
緊急時の社会をジジェクがどう診断するか、時事批評の形で確かめたい人に合います。
13位:『ジジェク自身によるジジェク』(スラヴォイ・ジジェク)
インタビュー形式で生い立ちと自著を振り返り、ジジェク自身が思想の形成過程を語ります。
『イデオロギーの崇高な対象』や『脆弱なる絶対』など、自著の位置づけをジジェク自身が解説している のが貴重なポイントです。
論文でもなく評論でもなく、生身のジジェクが語る言葉には、著作とはまた違った魅力があります。
主要著作をいくつか読んだあと、著者の言葉で全体の位置関係を確かめたい人に向きます。
ジジェクを理解するための3つのキーワード


ジジェクの著作を読みすすめるうえで、知っておくと理解が格段に深まるキーワードを3つ紹介します。
イデオロギーと享楽(jouissance)
ジジェクの中心的なテーマのひとつが「イデオロギー」です。
ただし、ジジェクが言うイデオロギーは「間違った考え」のことではありません。
私たちは現実が虚構であると知りながら、それでもなお虚構に従って行動してしまう。
この「知っているけど、やめられない」構造をラカンの「享楽(jouissance)」で読み解くのがジジェクの手法です。
享楽とは単なる快楽ではなく、苦痛をともなってでも繰りかえしてしまう衝動のこと。
イデオロギーがなぜ強固なのか、なぜ人はそこから抜け出せないのかを考えるとき、この概念が手がかりになります。
大文字の他者(the big Other)
ラカン理論の中でジジェクがとりわけ多用するのが「大文字の他者」です。
これは特定の誰かではなく、社会の秩序や法、「みんなが信じていること」を象徴する抽象的な存在を指します。
たとえば、誰もが内心では疑っているのに、表向きは誰も口にしないルール。
ジジェクはこの「大文字の他者」が実は存在しないことを暴きつつ、それでも私たちがそれを前提に行動しつづける構造を分析します。
対象a(objet petit a)
ラカンが生み出した概念の中で、もっとも独特なのが「対象a」です。
欲望の「原因」でありながら、手に入れた瞬間には消えてしまう、到達不可能な対象のことを指します。
ジジェクは映画やポップカルチャーの中にこの対象aを見出し、私たちの欲望がどのように構造化されているかを示します。
ヒッチコック映画における「マクガフィン」がまさにこの対象aの好例です。
ラカンを深く学びたい方には、ラカンのおすすめ本13冊を難易度別に紹介の記事もあわせてどうぞ。
ジジェクのおすすめ本についてのよくある質問


ジジェクの本に関してよく寄せられる疑問にお答えします。
ジジェクの本はどれから読むべき?
最初は『ラカンはこう読め!』がおすすめです。
ジジェクの文体や思考スタイルに慣れることができ、ラカン理論の基礎もあわせて学べます。
映画好きの方なら『斜めから見る』、政治や社会に関心がある方なら『ポストモダンの共産主義』から入るのも手です。
ジジェクとラカンの関係は?
ジジェクはラカン派の精神分析理論を哲学や文化批評に応用した思想家です。
ラカンの概念装置(「享楽」「大文字の他者」「対象a」など)をツールとして使いながら、マルクスのイデオロギー論やヘーゲルの弁証法と接続するのがジジェクの独自性です。
ラカン自身の著作に興味が出た方は、ラカンのおすすめ本13冊を難易度別に紹介もご覧ください。
ジジェクの著作が難しいと感じたらどうすればいい?
最初に、すべてを理解しようとしなくて大丈夫です。
ジジェク自身がよく脱線しながら書くスタイルなので、気になったエピソードや事例だけを拾い読みしてみてください。
それでも厳しければ、『ジジェク自身によるジジェク』のような対話形式の本から入ると、肩の力を抜いて読めます。
ジジェクとドゥルーズの違いは?
どちらもフランス現代思想の影響を受けた哲学者ですが、方向性はほぼ正反対です。
ドゥルーズは「差異」や「生成変化」の哲学で、ヘーゲル的な弁証法を批判しました。
一方のジジェクはヘーゲルの立場からドゥルーズを批判し、ラカン的な「否定性」に思想の核を据えています。
ドゥルーズの思想についてくわしく知りたい方は、ドゥルーズのおすすめ本13選を入門書から代表作まで解説をあわせてご覧ください。
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ジジェクの著作を効率よく読みすすめるために、知っておきたいサービスを2つ紹介します。
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ジジェクの著作ではKindle版が出ているタイトルもあり、紙の本より手軽に試し読みができます。
哲学や思想関連の入門書も豊富に揃っているので、ジジェクの著作と並行して周辺知識を補強するのにも向いています。
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まとめ


ジジェクのおすすめ本を入門書から代表作まで13冊紹介しました。
| 順位 | 書名 | 著者 |
|---|---|---|
| 1 | ラカンはこう読め! | スラヴォイ・ジジェク |
| 2 | 斜めから見る: 大衆文化を通してラカン理論へ | スラヴォイ・ジジェク |
| 3 | ポストモダンの共産主義 はじめは悲劇として、二度めは笑劇として (ちくま新書 852) | スラヴォイ・ジジェク |
| 4 | 暴力 6つの斜めからの省察 | スラヴォイ・ジジェク |
| 5 | 「進歩」を疑う なぜ私たちは発展しながら自滅へ向かうのか (NHK出版新書) | スラヴォイ・ジジェク |
| 6 | イデオロギーの崇高な対象 | スラヴォイ・ジジェク |
| 7 | パララックス・ヴュー | スラヴォイ・ジジェク |
| 8 | 否定的なもののもとへの滞留: カント、ヘーゲル、イデオロギー批判 (批評空間叢書 15) | スラヴォイ・ジジェク |
| 9 | 快楽の転移 | スラヴォイ・ジジェク |
| 10 | 厄介なる主体1―政治的存在論の空虚な中心 | スラヴォイ・ジジェク |
| 11 | 神話・狂気・哄笑 ドイツ観念論における主体性 (nyx叢書) | マルクス・ガブリエル/スラヴォイ・ジジェク |
| 12 | パンデミック 世界をゆるがした新型コロナウイルス (ele-king books) | スラヴォイジジェク |
| 13 | ジジェク自身によるジジェク | スラヴォイ・ジジェク |
迷ったら、最初は『ラカンはこう読め!』から読んでみてください。
ジジェクの魅力は、わかりにくい哲学の議論を映画や日常の事例で「腑に落ちる」ところまで引きずりおろしてくれるところにあります。
その切れ味に一度ふれると、世界の見え方が少しだけずれる。
そのズレこそが、ジジェクを読む醍醐味です。























